国際会計基準でのキャッシュ・フロー計算書は現在直接法と間接法の両方が認められています。しかし、現在直接法に一本化するという提案がなされています。
本サイトへの投稿記事は
aegifの国際会計基準専門ブログ IFRS of the day(http://aegif.typepad.jp/ifrs/)より引用しております。
キャッシュ・フロー計算書は
貸借対照表、損益計算書とともに企業の財務諸表として定着していますが、
企業の本業に関連するキャッシュの流れを示す
営業活動によるキャッシュ・フローの表示方法は
直接法と間接法のどちらかを任意で選択することができます。
これは日本基準も国際会計基準も同じです。
現状では日本でも海外でも
間接法を採用している企業がほとんどです。
オーストラリアでは直接法のみと決められているので、
直接法での開示がなされているようです。
間接法が主流なのは作成しやすいからです。
間接法では損益計算書の利益の額から
キャッシュ・フローの増減項目を調整しキャッシュ・フローを求めます。
損益計算書と期首と期末の貸借対照表があれば作成できます。
それに対して直接法では
仕入れや販売などに使ったキャッシュ・フローをそれぞれ集計します。
取引ごとのキャッシュ・フローを記録しなければならなくなるので
システム上対応が必要となりますし、取引の処理も手間がかかります。
国際会計基準審議会(IASB)では現在
財務諸表の表示全般を検討していて、その中に
キャッシュ・フロー計算書を直接法に統一するという提案があります。
かなり前から提案はなされているのですが、
作成の負担が重すぎるということで反対意見も多く、
なかなか結論が出ません。
コンバージェンスプロジェクトとして
米国会計基準とも足並みを揃えて改訂する予定となっており、
双方で合意に達するのが難しいようです。
このようなときには
「難しい問題はとりあえず置いておいて、お互い歩み寄りやすいところから合意していく」という方法がよくとられます。
そこで、
金融機関のキャッシュ・フロー計算書は直接法に統一するということが
暫定的に合意されています。
最終的に金融機関のみに限定されるのか、すべての企業に直接法が適用されるのか、まだはっきりとは分からない状況です。
直接法に統一されるとキャッシュ・フロー計算書作成の負担は非常に
重くなります。
日本企業での国際会計基準適用に際して重要な課題になってくると思います。
プロジェクトのスケジュールによると
もうそろそろ公開草案が出される予定です。
どのようなものになるのか注目されます。
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