公共調達と民間調達の垣根を越えて

2010.04.08

経営・マネジメント

公共調達と民間調達の垣根を越えて

野町 直弘
調達購買コンサルタント

公共調達と民間調達の違いとは何でしょうか? 私は「公共と民間で」(実態は別にして)取組や手法など、目指すべきところは殆ど変わらない、のではないか?と考えています。

最近、公共や独立行政法人などの購買・調達について
何人かの方と話をする機会がありました。
そこで良く言われるのは、「公共の調達は民間とは違う」ということです。
逆に「民間の調達と公共の調達はどう違うのですか?」ということも
良く聞かれます。

私は「公共と民間で」(実態は別にして)取組や手法など、
目指すべきところは殆ど変わらない、のではないか?と考えています。

当然のことながら公共の場合、
会計法予決令やWTOの政府調達協定で厳格なルールがあり、
透明性かつ公平性を持って一般競争入札を最優先する、
という考え方があります。
しかし、これは民間も目指している方向であり一般競争入札であるか否か
(簡単に言うとオープン型であるかどうか)という点を除いては
何ら変わりはありません。

購買・調達行為について公共と民間では
そもそもの目的の優先順位が多少異なるかもしれません。
公共はやはり、公平・公正にかつ適正に
取引先を選定することが最重要な課題であり、
どちらかというとコストは二の次であったかもしれません。
一方で民間はやはりコストの削減、適正化が一番の優先事項であり、
公平・公正な取引先選定は今までは二の次だったかもしれません。

しかし、現状、公共セクターにおいても莫大な借金を抱えている状況下、
当然のことながら
如何にコスト削減を求めていくか、が重要になっていますし、
民間にとってもQCDのみではなく
コンプライアンス強化が購買・調達部門にとって
大きな役割になってきています。
そういう点からも正直殆ど目指すべき方向に変わりはないのです。

ただ一方で、お互いの違いを認識した上で
良いやり方を取り入れていくことも必要です。
それでは現状の購買・調達のやり方で大きく違うのはどこでしょうか?

それは「案件化」という考え方です。
「案件化」とは購買・調達の担当者が自らコスト削減やサービス、
品質の向上などの機会を求め、交渉や見積取得、
入札などの案件を作り出していくことです。
民間は「案件化」を当たり前のように行っています。
継続的な購入品について毎年購入条件を見直していく。
従来であれば単発で購入していた物品を年間まとめて期間契約にし、
ボリュームを集約し購入条件を見直す。

また最近では従来全く手をつけていなかった聖域的な費用についても
費用全体の削減も含め削減を図っていく。
消耗品やサービス、業務委託等の所謂間接材購買についても「案件化」し、
コスト削減等の機会を作り刈り取っていく企業が増えています。

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野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

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