社長になりたい人が、わずかに12%。出世したいと思わない人が26%。出世してどうなるんだ、と思う気持ちはわからないでもない。が、雇ってもらっていれば良い、では絶対にダメだ!
25年前の記憶、その1
私が就職したのは1984年、今ほどではないけれども圧倒的な買い手市場だった。国立大学とはいえ一浪一留文学部と三拍子揃ってしまうと、そもそも企業さんからのお誘い自体がほとんどないのだ。
当時の会社説明会解禁日は4回生の10月1日。関西エリアならとりあえず大阪やろとばかりに、当日10時前にJR大阪駅まで出向き「これから、今日の説明会に参加したいのですが」と目星をつけていた会社に電話をかけてみた。
何しろ説明会当日ですからね。今なら(もしかしたら当時でも)あり得ないようなアポ取りである。5社かけて、まともに返事してもらったのは1社だけ。大手旅行代理店さんが「今日はもう満席だけれど、10月4日なら面接できるので来ますか」と言ってくれた。
指定日に面接に行くと、何もする前からいきなり「明日、東京へ行けるか」と尋ねられる。何とか重役面接に潜り込ませるからといわれ、喜び勇んで出陣したのは良かったが、さて。
「どうしても旅行のチケットを10枚売ってきて欲しい。君なら、どうするかね?」というのが重役からの最終質問だ。よりによって一緒に受けた某国立大学ヨット部キャプテンは「大学の正門前で、出てくる学生一人ひとりに声をかけ、土下座してでも売ります」とのたまった。
それを聞いて「ウソつけぇ」と思ってしまった私は、自分の番が来たときに「僕には、そんなことはできません。売れません」と答えてしまった。嗚呼。
25年前の記憶、その2
当然、アウトである。さて、どうしようか。みんなはどうしてるんだと、次の日に大学に行ってみると、文学部の前でかわいい・きれいな・おしゃれな・素敵な(要するにうちの大学にはいない)女の子が、パンフレットを配っている。
聞いたこともない会社、だけれど、京都にある会社らしい。かぐわしい匂いに釣られて、ふらふら寄っていくと「明日、説明会をやるのですが、来ていただけませんか」なんてことをニコッとしながら言ってくるではないか。
一緒に釣られた連れに「どうする?」と聞けば、そいつはしっかり鼻の穴広げて「行ぐ」と答える。じゃあ、僕もと返事をしたのが運の尽き。
翌日、連れは来ず(そんな名前も知らない会社に行くわけないじゃん、とかいってやがった)。のこのこ一人で出かけてみると、その会社始まって以来の国立大学生らしく「本当に来てくれるのかね。本気なら、いまこの場で合格!」とかいわれて入社することになった。
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