ちふれ化粧品の成長が著しい。「2003年度の売上高は78億円でしたが、08年度は約1.5倍の120億円、09年度は130億円規模まで伸びそうです」と社長の松本氏がインタビューに応えている。
<【トップ直撃】時代が必要とするものを作り続けていく 松井弘之氏>(フジサンケイZakZak:4月19日)
http://tinyurl.com/y37urz9
「化粧品が高いのは、化粧品会社が努力していないからだと思います」代表取締役社長・松井弘之がひとこと言い放つ、「ちふれ化粧品」のCM。「その企業が努力しているかどうかは、価格に出ると思います」とも別バージョンでいう。CMで紹介されている同社の美白化粧水は1,155円だ。
「SAVE WOMAN」キャンペーンで、女優・「りょう」をCMのタレントとして起用しコンセプトを伝える。さらに全国47都道府県のリアルなユーザーの生の声でCMを続々と作り続けている。
同社の前身は低価格高品質の「100円化粧品」にチャレンジしていた企業であった。1962年のことである。67年に広告を一切掲載しない中立的な製品テストを行うことで有名な雑誌「暮しの手帖」に、大手メーカーの高額商品との比較記事を掲載。品質に大差がない結果出たことをきっかけに、日本最大の婦人団体「全国地域婦人団体連絡協議会」との組織的な販売斡旋を前提とした提携が決まり、同会の名称にちなんだ「ちふれ化粧品」としてスタートした。
その際、製品の全成分の構成内容や比率を表示し、品質の透明性を保つことと、低価格販売のために広告宣伝費を極力抑制することを大方針としたという。(Wikipedia参照)
同社設立の経緯からすれば、2003年のCM解禁は大きな方針転換であったことは間違いない。しかし、それは「やらねばならなかった改革」であったようだ。
前掲(Zakzak)のインタビューで<「8年前、弊社の商品のイメージについて調査をしたことが大きな転機になりました。調査で分かった商品イメージは、『知っているけど使いたくない』『安かろう悪かろうの商品なのでは』とかなりネガティブな内容ばかりで…」>とそのきっかけが明かされている。
イメージ改善はCMだけに止まらない。さらに、新たなイメージを浸透させるチャンスにおいて、ブランドのロゴを『ちふれ化粧品』から『CHIFURE』に変更したという。
化粧品の口コミサイトを見ると、「低価格高品質」である点を評価する書き込みがほとんどだ。イメージ改革戦略が確かに成功をおさめ、同社の成長の原動力となっていることがわかる。
同社は顧客支持を集める「低価格高品質」をどのように実現しているのか。広告宣伝費は上昇しているはずだ。それをどこで吸収しているのか。
6年間で1.7倍に成長していることから考えれば、規模の経済と経験効果が働いているであろうことが推定できる。工場設備、研究開発、広告宣伝などの固定費は生産・販売数量が多くなれば、単価当たりの比率は低下する。工場や販売に関わる人件費は生産・販売数が多くなれば効率化され、経験効果としてコスト低減をもたらす。他にも原材料の調達や、配送コストなどもいずれも規模化することで高効率になる。
バリューチェーンで考えれば、キーワードは「規模化」ということになるが、その実現がどれだけすごいことか、もう一歩踏み込んで考えてみればよくわかる。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。