2010年4月に金融庁が「国際会計基準(IFRS)に関する誤解」という文書を公表しました。日本では国際会計基準について誤解が多く、ほとんどの人は分かっていない、という現状が懸念されているようです。
本サイトへの投稿記事は
aegifの国際会計基準専門ブログ IFRS of the day(http://aegif.typepad.jp/ifrs/)より引用しております。
2010年4月、金融庁から「国際会計基準(IFRS)に関する誤解」という文書が公表されました。
国際会計基準について誤解を招く情報が流布しているという指摘が多く、よくある事例を取り上げて正しい理解を促そうとしています。
以前、内部統制報告制度(J-SOX)が導入されるときにも
情報が錯綜し対応する企業で混乱が生じ、
金融庁は似たような文書を公表したことがありました。
この時は文書の公表が遅かったという批判があり、
今回は早めの対応を行なったというところでしょう。
内容を見てみると、
全般的事項として
「ITシステムの全面的な見直しが必要か」
「社内の人材のみではIFRSに対応できないのではないか」
「監査が厳しくなるのではないか」
といった「誤解」が取り上げられています。
どの「誤解」についても金融庁は
NO
と答えています。
システムは
必要な範囲で改修を行なえばいいのだし、
人材も
社内で研修や検討を進めることで体制を整えることも可能です。
監査についても
会計処理の考え方を自ら説明することが重要なのであって
厳しくなるわけではないということになります。
確かにその通りです。
国際会計基準が導入されるからといって
業務もシステムも監査もすべてが
全く変わってしまうということではありません。
しかし、何も変わらないということは絶対にありません。
具体的には何が変わるのでしょうか。
個別的事項を見てみます。
個別的事項として挙げられているものをいくつか例示すると、
「売上計上基準に出荷基準や工事進行基準が適用できなくなるのではないか」
「減価償却方法は定率法が使えなくなるのではないか」
といったものがあります。これらは変わるとしたら影響が大きいところです。
金融庁の説明では
売上の出荷基準も減価償却の定率法も
国際会計基準で禁止されているわけではなく、
基準のプリンシプル(原則)に照らして判断する、
ということになっています。
つまり、何を変えるのかは
企業が自分で判断しなければならないのです。
誤解は解かれましたが、誤解がなくなって一安心、ではなく、
実は非常に難しい問題に直面していることが分かります。
日本の会計基準は細則があったので、
「基準のここに従う、実務指針のこの規定を使う」ということで
会計処理は決まっていましたが、
国際会計基準ではそうはいきません。
「企業の実態を理解して、プリンシプルに照らして判断する」ことが必要なのです。
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