売り手と買い手の境界

2010.05.02

経営・マネジメント

売り手と買い手の境界

野町 直弘
調達購買コンサルタント

地方自治体などで地元の多くの企業を集めて 買い手企業との商談会を開催していますが、 そこでたいていの企業さん(サプライヤ候補先)から言われる 三つのことがあるというのです。  「何かありませんか?」  「何でもやります」  「何かあったら声をかけてください」この三つだそうです。

先般外資系企業のサプライヤ開拓チームの方と話をしていて
面白いことを聞きました。

地方自治体などで地元の多くの企業を集めて
買い手企業との商談会を開催していますが、
そこでたいていの企業さん(サプライヤ候補先)から言われる
三つのことがあるというのです。
 「何かありませんか?」
 「何でもやります」
 「何かあったら声をかけてください」この三つだそうです。

この言葉自体が全て悪いとは言いませんが
どちらかと言えばネガティブな印象を持ちます。
言われた側(購買企業)からすれば、
「で何が得意なのですか?」を知りたい訳ですから。
サプライヤ開拓チームの方は職務としてサプライヤを探しているので、
これはこの企業にしかできないことだな、とか、
この企業の競争力はどこなのかな、
という視点で言うなれば優しく接する立場である訳ですが、
そういう立場の方がこういう話をします。

逆に最近元気な中小・中堅企業にはどういう特徴があるでしょうか?
先日Webで企業情報を提供している
ある企業さん主催の会員企業の会があり出席しました。
その場ではいくつかの元気な企業の紹介をしておりました。
共通して言えるのは、独自性、技術革新、脱量産です。
独自性は言うまでもないでしょう。
加工技術、低コスト、スピード、高品質、その他もろもろで
自社はこういう特徴を持っています、という企業さんは概して元気です。
次の技術革新ですが、
最近は二代目社長になってきており、今までの多くの技能工を抱え、
属人的な技能で勝負するという世界から、
如何に最新のITや設備を駆使していけるか、という世界に移行しています。

そして三番目の脱量産ですが、
今までの大手企業の下請け仕事である量産品から収益性のより高い、
自社商品、一品モノ、に事業の柱を移すことが特徴として上げられます。
三番目の脱量産ですが、
日本企業としての経営のかじ取りとしては間違っていないでしょう。
また収益を重視するという点から考えても
量産より試作を志向することは否定できません。
ただ冷静に考えると、本当にそれでいいのかな?と思ってしまいます。

日本企業は技術を持っている、日本の経済成長は製造業の技術力によるもの、
というように過去定説のように語られてきたことは
誰も否定できないでしょう。
もう少し詳しく見ると、技術力にはシーズとなるような
イノベーションと如何に安定的に製品を作り出すかというような
生産技術力に分けられます。
どちらの技術も企業の成長にとっては欠かせないものですが、
特に生産技術力については日本のお家芸であったのではないかと思います。
これは大量に同じ製品、部品を作り出す力であり、言い換えると、
品質管理、工程管理、コスト管理、納期管理を行う技術とも言えます。
つまりイノベーションでは海外に負けてしまうが、
量産化、工業製品化するノウハウはどこの国にもまけない。
これが今までの日本の競争力を支えてきたと言っても
言い過ぎではないでしょう。

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野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

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