講談社が革命の先陣を切った。同社は、ベストセラー作家・京極夏彦氏の<新刊>を、電子書籍で、半額で配信する。日本でも、書籍の概念が大きく変わっていきそうだ。
20年後の社会科教科書を予想する
「2010年5月末、日本でも大手の出版社が初めて、新刊を電子書籍で刊行しました。これ以降、日本では書籍の電子化が急速に進み、今では皆さんが毎日目にしているように、本はiPadで読むものとなったのです」
2030年の小学校の社会科教科書には、上記のような文章が書かれているのではないだろうか。ここでいう「大手の出版社」が講談社である。
同社は京極夏彦氏の新作『死ねばいいのに』を電子書籍で刊行する。といっても従来通りの紙の本も発売される。こちらは5月15日にすでに発売されているから、電子書籍が同時発行となるわけではない。しかし、そのインパクトは大きい。
近ごろ都で密かに流行るモノ・書籍スキャン
「お父ちゃんが子どもの頃は、本と言えば紙やったんやで」と、筆者の息子が、筆者の孫に語る時代が、いずれ来るのだろう。この言葉に孫がどう答えるか。「嘘やろ!」とか「信じられへん!」になるのだろうか。
とはいえ20年後には、紙の本は図書館に行かないと手に触れることができないモノとなっている可能性は高いと思う。そうした動きがあるのだ。
いま、いわゆるイノベーターの方たちの間で密かに流行っているのが、自分の持っている本のスキャンである。本は場所を取る。しかも、本というモノは増え続ける習性を持っている。本を置くためのスペース代だって決してバカにはならない。
そこで書籍をスキャンして保存するのだ。一昔前と比べれば、スキャナーの性能が飛躍的に向上している故に、スキャンしてPDFデータに変換した本でも十分に読みやすい。OCRをうまく活用すれば、テキストを検索できるようにもなる。便利である。場所はまったく取らない。
しかもデータ化された本なら、管理は簡単だし、いつでもiPadに入れて持ち歩くこともできる。だから、せっせとスキャンする。こうしたニーズが確実にあることを読んで、一冊丸ごとスキャンしてくれるサービスもある(→ http://www.bookscan.co.jp/)
グレーゾーンにあるスキャン書籍
ここで問題となるのがスキャンされた書籍データの存在である。言うまでもなく、これはデジタルデータである。ということは、一瞬でコピーできてしまう。
一冊当たりのデータ量が数十メガになるようだから、メール添付で送ることは難しいにしても、ファイル転送サービスを使えば、これまた一瞬にして誰かに送ることができる。
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