氷点下の温度帯(-2℃から0℃)の『アサヒスーパードライ』を飲めるバーが銀座にオープンした。それは「ビール離れ」といわれる若者向けの取り組みだという。
氷点下の『スーパードライ』を体感できる!『アサヒスーパードライ エクストラコールドBAR』(同社ニュースリリース)
http://www.asahibeer.co.jp/news/2010/0520_2.html
「氷点下」という温度に行き着いたのも、同社が若者対策を模索しての結果である。
通常、スーパードライの飲用推奨温度は4℃~8℃程度。しかし、<0℃で『アサヒスーパードライ』をお飲みいただいた場合、特に20代の若い層を中心に、ブランドの特長である「味のキレ」「シャープさ」「のどごし」などを強くお感じになる方が多くいらっしゃることが明らかになりました。(アサヒビール調べ)>(同)とのことである。
これからの暑い季節、キンキンに冷えたスーパードライがノドを駆け抜けていく感触を想像しただけで、思わずノドがゴクリと鳴る。
■若者好みの味は0℃?
未知の領域・0℃にキンキンに冷えた味わいに興味は湧くが、考えてみれば、そんなに冷たかったら味わいもないのでは?と思が、そこは「若者対策」。オジサンの好みに構ってはいられないのだろう。
だが、若者はなぜに、0℃のスーパードライの味を好むのか。
恐らく、それを好むのではない。普通の温度の味が「嫌い」なのではないか。なぜって、それは「苦いから」。
飲み会の乾杯準備で「みんな、生でいいよね?」はもはや禁句だ。刺身を食べながら、「カシスグレープ」を飲んでいるからといって、「それって…」などというなど言語道断。若者と飲みに行く際の最低限のマナーである。それほどまでに若者はビールを飲まない。もう10年もすれば、ビール派の方がマイノリティーになっているかもいしれないという勢いだ。
そここそが、アサヒビールの危機感なのだ。正直なところ、「味わってくれなくていい!のど越しさえ楽しんでくれて、それがクセになるなら!」という思いなのだろう。0℃でクセになり、家飲みで通常の4℃〜8℃を飲んでも気にならなくなるような成長過程を期待しているのだろう。
■毒が効かない村雨兄弟
懐かしの横山光輝の漫画「伊賀の影丸」に、「村雨兄弟」というキャラクターがいる。毒の使い手となるために、幼少の頃から毒を少ずつ飲まされて育ち、毒に対する耐性を身につけているのだ。
さて、初めてビールを飲んだときのことを覚えているだろうか。「その時、何歳でしたか?」とは聞かない。「お酒は二十歳から」だから当然だ。そして、その時の感触を覚えているだろうか。「うっぇ~苦っが~い!!」と、結構、衝撃的ではなかっただろうか。
それがしばらくすると、あら不思議。平気で飲めるようになって、オイシイと思うようになる。それを仕込むのは親だったり、先輩だったり、上司だったりと様々であるが、ともかく村雨兄弟の如く、少しずつ耐性を付けて立派な毒使いならぬ、ビール飲みになるのが人の成長でもある。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。