マーケティングというのは、原則として顧客(市場)に対する仕掛けを意味する。しかし、会社の外に対するメッセージ、仕掛けに集中するあまり、社内への浸透と徹底におろそかになっている企業があまりにも多い。
最近、強く感じることがある。
「顧客(市場)へのマーケティングに成功している会社は、社内に対するマーケティングを徹底している」ということだ。
マーケティングというのは、原則として顧客(市場)に対する仕掛けを意味する。しかし、会社の外に対するメッセージ、仕掛けに集中するあまり、社内への浸透と徹底におろそかになっている企業があまりにも多い。
メディア環境が大きく多様化し、顧客(非顧客も含む)との接点が大きく拡大した現在、マーケティングアクションがここ10年で数倍から10倍に増大したと語るマーケティング担当者が多く、しかも、非常に短期的な費用対効果を期待される。
さらに、ソーシャルメディアへの参入は、マーケティング担当者自らメディア化することとなり、さらに多忙を極める。
それゆえか、顧客への対応ばかりに気が移り、社内への啓蒙、共有といった先に行わなければならないことがおろそかになってしまう。
しかし、顧客への提案、PR、顧客との関係構築などに成功している会社は、むしろ、社内での戦略の浸透を徹底しているといえる。
実際、アメリカマーケティング協会で約20年ぶりに 「マーケティングとは,顧客を創造し,伝達するため,そして組織とその利害関係者(顧客,株主,債権者,従業員,経営者,取引先,行政機関)に便益を与えるような方法で顧客関係を確立するための1つの組織機能であり,一連の過程である。」という再定義された内容にあるように、「その組織と利害関係者」への施策に成功している。
マーケティング担当者の多忙さばかりでなく、このような社内向けの伝達、啓蒙がおろそかになっている原因は現在の環境変化にもよる。
ひとつ挙げられるのは、購買の意思決定要因が非常に複雑化してきているということ。
高度成長時代のように、単純にそのモノがほしいというニーズだけではなく、その商品やサービスの背景にあるストーリーや付加価値を検討しながら、類似する多くのサービスの中から選択するというプロセスを経る。しかも、ユーザーからの情報や評判、評価を簡単に手に入れることができ、商品提供側が何を言おうが、顧客はあらゆる情報を仕入れることができる。
そうなると従来のワンウェイ訴求型プロモーションだけでは、そうした商品・サービス価値をプレゼンテーションし納得してもらうのは、非常に困難となる。
もうひとつは、作り手側のメッセージが高度化しクオリティが上がれば上がるほど、実際に営業やサービスに相対する顧客は、ギャップを感じることになる。
たとえば、高度な専門知識と顧客本位のソリューション力をメディアやWebで訴求する金融機関や、地球環境と利便性を両立させる住まいを標榜するハウスメーカーなど、企業側が啓蒙すればするほど、実際の営業マンからの提案や対応との落差があまりに大きいと落胆してしまった人は少なくないだろう。
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