LCC(ローコストカントリー)とLCB(ローコストバイヤー)

2010.06.04

経営・マネジメント

LCC(ローコストカントリー)とLCB(ローコストバイヤー)

野町 直弘
調達購買コンサルタント

最近LCC(ローコストカントリー)という言葉をよく聞きますが、日本で働く人たちは自分たちの仕事さえ奪われる時代LCB(ローコストバイヤー)の時代に入っていることを認識しなければなりません。

今年の初めに購買ネットワーク会のサブ会で「2010年を読み解く!」という会合があり、そこで「LCB」という言葉をある方から聞きました。
以前より「LCC」(Low Cost Country)という言葉はありましたが、それをもじったLCB(Low Cost Buyer)というものです。

今後、モノ造りが中国やインドなどの新興国に移っていくとともに、バイヤーにも低コスト化のニーズが高まってきます。
その時代には日本の高い賃金のバイヤーの多くは新興国の低コストバイヤーにその地位を脅かされるだけでなく、付加価値がないバイヤーはその職がなくなっていく、というものです。
この傾向はコモディティの購買を中心に進んでいくことは間違いありません。

そういう時代に備えるためにも日本のバイヤーは新興国のバイヤーに負けないようなスキルを身につける必要があるのです。
実際に製造拠点が海外に移転すればまずは工場の人間が不要になってきますし、現地のサプライヤの情報を持ち常時コンタクトできるような現地バイヤーの方が有利なポジションにあると言えるでしょう。

ここにショッキングなデータがあります。
米国にISM(Institute for Supply Management)という購買関連の組織があるのですが、そこが運営する購買資格(A.P.P.、C.P.M.、CPSM)の取得データについて最近C.P.M.資格を取得した方からの購買ネットワーク会メーリングリストへの投稿です。
その方によりますと、過去1ヶ月以内にISMの資格取得をした人は503人に上ります。
うち米国の資格取得者が346人で約7割なのですが、2位は何と中国であり95人(約2割)、3位は韓国で33人と続いています。

一方日本はたった1人です。
(要するにメーリングリストに投稿された方だけ)
日本には購買関連の他資格もあり、またC.P.M.資格自体が米国の法知識を求めたりすることからそのニーズの妥当性も含め、単純に比較することはできないとは言え、それにしても勢いのある中国、韓国の力を感じさせる状況になっています。

今後LCBに攻め込まれるであろう日本のバイヤーはそのスキルを磨く以外に生き残る術はないというのに、未だにこのような状況なのです。

これは購買・調達部門に従事する人間だけの話ではありません。
LCxというホワイトカラーを含む日本全体の構造的な課題なのです。

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野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

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