ユーザーと作り手の境界がなくなり、「プロシューマー」の時代と叫ばれて久しいが、昨今のソーシャル系メディア、Web技術によって、ようやく本質的な「プロシューマー」が活躍できるサービスが登場してきた。
ようやくプロシューマーが活躍できる舞台が整ってきたようだ。
もともとプロシューマーとは、アルビン・トフラーが『第三の波』の中で示したもの。生産者 (producer) と消費者 (consumer) とを組み合わせた造語だが、消費者でありながら、生産者でもあるという状態を概念的に捉えた。
これまでのプロシューマーという概念は、生産に携わる消費者という意味合いの状態も多く、たとえば、消費者の声を反映させて作りあげるダイレクトマーケティングの商品も広い意味では、プロシューマー商品と言われた。
やがて、コンピュータの世界では一般的な手法となった。オープンソースがあたりまえの世界となり、自分で使うために開発したものがすぐに標準化され、新たなユーザーを生むというように、ユーザーとプロデューサーの役割がボーダレスとなった。
そしてフリーウェアやシェアウェアなど、誰でも商品を開発し、売ることができる環境が生まれた。窓の杜やVectorにお世話になった(なっている)人も多いだろう。現在ではAppストアなどで活況化する市場だが、こうしたPC、デジタル端末系アプリケーションの世界では、古くからプロシューマーモデルは存在した。しかし、コンピュータのソフトウェアを開発できるスキルを持つ人は多くないし、誰もが参加できるマーケットではない。
販売というカテゴリーにおいては、アフィリエイトのビジネスモデルに代表されるように、すでにプロシューマーの世界はできあがっている。誰もが気軽にWebサイトを持ち、情報発信が可能となったブログの登場によって、本当に誰でもEコマースの商流の中にプレイヤーとして参画できるようになった。
魅力あるコンテンツを持っていれば、自分のブログにアクセスしてくる人たちを顧客にすることも可能となった。ただし、このスキームでも、あくまで市場における販売スキームの中で、販売プレイヤーとして参加できるだけで、商品はアフィリエイト先の商品であり、自らが生産者として参加できるものではない。
ところが、自分の好きなデザインの商品を作り、同時にその商品を売ることができるというサービスが日本にお目見えした。2010年5月13日、トランスコスモス社が出資するZazzleというアメリカ生まれの企業が、日本でサービスを開始したのだ。
トランスコスモス社のプレスリリースによると、Zazzleは、Tシャツやポスター、靴やトートバック、名刺、マグカップ、スケートボードなど、多種多様な30種類以上の製品を、自由にデザイン、設計することが可能で、世界中のユーザーやアーティスト、企業に対し商品を提供する仕組みを持つWebサイトだ。
このサイトの最大の特徴は、自分で制作したTシャツなどの製品は、自分で購入する以外にも、Zazzleサイト上で販売することができることにある。
商品を売ろうと思えば、オリジナルに作成したデザインやイラストをWebサイトにアップし、デザイン料(著作権使用料)として価格をつけ、自由に販売することができる。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2015.07.10
2015.07.24