ソニーα「背景をぼかす」のとってもシャープな切り口!!

2010.06.14

営業・マーケティング

ソニーα「背景をぼかす」のとってもシャープな切り口!!

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 「背景をぼかす。心が動きだす。」などのキャッチコピーで展開する、ソニーαのCM。「背景ぼかしコントロール搭載」を徹底訴求している。その戦略は実にシャープなのである。

 浅野忠信が屋久島の自然を旅し、北川景子が故郷の神戸を訪れるCMシリーズを展開する デジタル一眼カメラ・ソニーαNX-5・NX-3。同機種はデジタル一眼カメラの中でも新世代といわれる「ミラーレス」カテゴリに属している。
 「ミラーレス」の特徴は、レンズ交換が可能でありながら、光学ファインダーを取り除いて液晶ファインダーに特化したことによる形容/コンパクトさである。フィルムカメラ時代から一眼カメラの特徴であったレンズ上の突起部分がなくなり、見た目はレンズの大きさを除けばコンパクトデジカメとほとんど変わらない形状となっている。
 ミラーレス一眼カメラは、そのサイズや、液晶で見たままを撮影できるという気軽さから、コンパクトデジカメからの買い換え、一眼カメラエントリー層の需要を取り込んでヒットしている。競合状況としては、宮﨑あおいのCMと、往年のフィルムカメラの名ブランドを冠して若い女性と中高年男性の両方に大ヒットした「オリンパス・ペン E-P1」。樋口可南子が女性向けで使いやすさを徹底訴求するCMを展開する「パナソニック・LUMIX G2」などの強豪揃いである。

 強豪ひしめくカテゴリで、αがCMで繰り返し訴求しているのは、前述の「背景ぼかしコントロール」だ。被写体だけにピントを合わせ、背景をぼかすという「プロっぽい」写真が手軽に取れることが売り物である。

 実はこの撮影方法、ちょっと写真をかじった人間であれば、そんなに難しくない。中・高と写真部にも属していた筆者が解説すると、基本はレンズの絞りを開き、シャッター速度を速めること。つまり、ピントが合う範囲・被写界深度を浅くすることで、狙った部分と前後に距離がある場所はぼけることになる。しかし、全自動のカメラではなかなかそれはできない。簡単にやるなら、人物写真ならズームを望遠にして、さらに被写体の背景を遠くにすれば結構いい具合にぼける。だが、うまくそんな状況設定をするのは難しかったりする。
 「面倒な手間をかけずに、いつでも“プロっぽい写真”を撮りたい!」という、多くの人のニーズに応えたのが「背景ぼかしコントロール」なのだ。カメラを映したいものに向け、液晶画面横の「コントロールホイール」を回せば、好みのぼけ具合が無段階で調節できる。あとはシャッターを押すだけである。確かに仕上がりはプロっぽくなる。北川景子バージョンのコピーである「背景をぼかす。心が動きだす。胸が高鳴る。」になってしまうわけだ。「ちょっといい写真を撮ってみたい」と思うエントリー層のハートをわしづかみすること間違いなしだ。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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