マクドナルドがチキンメニュー強化に動いた。「ケンタッキーに対抗」とメディアや消費者は受け止めているようだが、マクドナルドの狙いは遙かに上をいっているように思われる。
<マクドナルドはチキンでもNo.1を目指します(中略)7月2日(金)より全国のマクドナルドで順次販売開始>(6月20日・日本マクドナルド・ニュースリリース)
http://www.mcd-holdings.co.jp/news/2010/promotion/promo0621a.html
上記リリースによれば、<これまでマクドナルドでは、2008年の「QUARTER POUNDER」、2009年の「マックカフェ」、2010年の「Big America」など、独自性のある商品を投入することにより、お客様の期待を超える価値を提供してまいりました。そしてこのたび、2010年度下半期の戦略的商品として、チキンを主役にした新商品を、自信を持って投入いたします>と、満を持しての発売であることがわかる。
ところが、「チキンでもNo.1を目指します」とは控えめな発表であることが、新製品発表会での原田社長の発言から垣間見えたのである。
<マックが「チキン」新メニュー発表 「クォーターパウンダー」超え狙う>(J-CASTニュース6月20日)
http://www.j-cast.com/2010/06/20069165.html?p=all
同記事にあるように、原田社長は<チキン市場3950億円のうち、マクドナルドは640億円。すでに16.3%のトップシェアを持っているが、まだマクドナルド=チキンという認知がされていない層がある>と述べている。つまり、現在でもケンタッキーなどを上回る1位の座を占めているのだが、誰しもが認める揺るぎないものにすることが目標だということなのだ。
既に1位であるにも関わらず、さらに上を目指すのは資本市場における企業の使命であるが、ともすればgreed(貪欲)が指弾される世の中になりつつある。しかし、同社の戦略は理にかなっているのだ。
原田社長のコメントにある16.3%というシェアを、クープマンの目標値で考えてみれば、多数のプレイヤーがひしめき合っていて、いずれも安定的なシェアを占めることができていない状態を示す「並列的競争シェア」におけるトップシェアの数=19.3%にも届いていない。この状態では、トップといえどもいつ逆転されるかわからない状態だ。となると、一刻も早く、頭一つ抜け出した市場ポジションを取りたい。それが、市場影響シェア=26.1%という状態である。
つまり、今回のチキンメニュー攻勢で、マクドナルドは一気にシェアを10%押し上げようという狙いなのである。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。