デジタルサイネージ、直訳すると「電子看板」だが、看板の域を超え、マーケティングツールとして大きく変貌している。
デジタルサイネージの世界が、今大きく広がろうとしている。デジタルサイネージとは、直訳すると「電子看板」。看板を電子化しただけの印象を持ってしまうが、今や看板の域を超え、マーケティングツールとして大きく変貌している。
電子○○というと、現在猫も杓子も「電子出版」だが、このデジタルサイネージ市場は、シード・プランニングによると2015年には1兆円を超える市場になるという。
電子出版の将来的な市場規模を予測するのは難しいが、現在2兆円を割るぐらいの出版市場だということを考えれば、デジタルサイネージ市場は電子出版市場に負けず劣らずの市場だ(というよりデジタルサイネージ市場のほうがむしろでかい)。
デジタルサイネージは言葉上電子看板だが、もはや看板という枠でくくることはできない。デジタル化したことで、「ネットワーによるコントロール、個別対応」と「インタラクティブリレーション」が可能になった。つまり看板からマーケティングツールになったと言える。
デジタルサイネージがこれまでの看板と大きく異なるのは、デジタルデータをネットワークによってコントロールできるということ。つまり、販売データやマーケティングデータをもとにして、サイネージから配信する情報コンテンツ(動画や画像、ゲームなど)を自在に変更、更新することが可能となったことだ。
実際ウォルマートでは早くから店内にディスプレイを設置し、広告コンテンツの配信を行ってきた。そして販売データや行動パターンデータをもとにしながら、時間帯や商品の売れ行きによって配信コンテンツを変えたりしてきた。
全米2,700店舗に27,000台のディスプレイを導入し、どでかいネットワークを築いている。しかも1週間の客数は1億4,000万人だという。こうなればもはや全国ネットのテレビ局をもしのぐ放送網だと言っても過言ではない。
このウォルマートは広告モデルとしても秀でており、今や完全にメディアとしての力をすでに持っている。広告主にとってなによりも強力なのは、「意思決定の約75%は現場で行われる」とよく言われるように、購買の直前に情報提供が可能な点にある。
メーカーが提供する商品の近くで、消費者にダイナミックに告知することができれば、こんなに力強い告知ツールはない。
そういう意味では、電車内でのデジタルサイネージも有力だ。エレベーター内での広告に代表されるようなある意味「キャプティブ」なツール(狭い空間、捕われた状況での告知)であり、いやでも目に入る。しかも週刊誌や食品・飲料など、中吊り広告を見たあとにすぐ駅ナカショップで買えるとなると、購買直前の情報提供としても成り立つ。
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