ファストフード業界でチキンメニューをめぐるホットな戦いが始まった。マクドナルドが攻める。ケンタッキーフライドチキンが受けて立つ。その両者の意図は何だろうか。
※この記事は以下の過去記事に新たな情報を加味してを再構成しています。
6月22日 全くスキなし!チキン覇権を狙うマクドナルドの精緻な展開!
7月5日 「揚げないチキン」のKFCの深謀遠慮?
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7月8日、渋谷の公園通りにケンタッキーフライドチキンの次世代店舗がオープン。すぐ隣にはマクドナルドの次世代店舗があり、7月2日からマクドナルドではチキンの新メニューの販売が始まっている。「チキン戦争」の象徴的な光景だ。
ケンタッキーフライドチキンの意図は明確だ。同社は今年日本上陸40周年。それを機に「オーブンローストチキン」というノンフライのメニューを開始した。特別な調理器を使うため、まだ渋谷公園通りの「次世代店舗第一号店」のみだが年内に100店を展開するという意気込みを見せている。
もう一方のマクドナルド。パリパリした薄い衣が特徴の「チキンバーガー ソルト&レモン」を発売。こちらは従来のフライ系だが、 ソースに凝ってさっぱりした味わいに仕上げた自信作となっている。サイドメニューも従来のナゲットに加えて肉感を高めたジューシーチキンを発売して充実させた。
そもそも、チキンメニューはBSE問題以来の牛肉離れや、世の低価格志向、健康志向に後押しされてここ数年、人気の高まりを見せている。低価格でボリュームが得られて、かつ、肉としてはローカロリーだからだ。ファミリーマートの「ファミチキ」に代表されるように、コンビニ各社は店内調理メニューとしてチキンを強化している。牛丼のなか卯もサイドメニューとして鳥の唐揚げを発売している。他にもオリジン弁当がから揚げ激安の日を設定したり、ほっかほっか亭が唐揚げ弁当の値引きをしたりという動きが見られる。
そんな「チキン」をめぐる戦場の中で、実はマクドナルドは日本の「チキン販売量第1位」なのだ。そのシェア16.3%。しかし、日本マクドナルドの原田社長は<チキン市場3950億円のうち、マクドナルドは640億円。すでに16.3%のトップシェアを持っているが、まだマクドナルド=チキンという認知がされていない>(J-CASTニュース6月20日)と製品発表会で述べている。つまり、今回の新製品で「チキンを食べたい」と思ったらまず、「マクドナルド」を思い出すというTop of mind(第一想起)のポジションを獲得するのが狙いなのだ。
クープマンの目標値で考えればマクドナルドの現在の16%強というシェアは、多数のプレイヤーがひしめき合っていて、いずれも安定的なシェアを占めることができていない状態を示している。そこから頭一つ抜け出した市場ポジションである「市場影響シェア」=26.1%を獲得しようというという意図が伺える。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。