手堅い?!モスの「ラー油バーガー」と「次の一手」を読み解く!

2010.07.26

営業・マーケティング

手堅い?!モスの「ラー油バーガー」と「次の一手」を読み解く!

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 業績好調のモスバーガー。ヒット商品に恵まれたことがその主因だが、実はそればかりではない。

 5月発表の株式会社モスフードサービスの決算短信を見ると、その好調さがよくわかる。グループ会社各社の努力もあるが、ともかく売上高こそ前年同期比-1%であるが、営業利益30.6%増、経常利益40.1%と大躍進だ。その業績押し上げに一役買ったのが、前期から好調の「とびきりハンバーグサンド」の第2弾、「トマト&レタス」である。前々期は「ハンバーグサンド」409万食、「チーズハンバーグサンド」329万食であったのに対し、前期「レタス」284万食、「トマト&レタス」482万食と人気にいささかの陰りもない様子がうかがえる。(櫻田社長によるIRプレゼン資料より)

 その「とびきりシリーズ」に勝るとも劣らぬ人気を誇る期間限定商品が今期誕生した。
 「テリー伊藤のざくざくラー油バーガー」だ。日本テレビの人気総合情報番組「スッキリ!!」とのコラボ商品の第2弾。前期は「激辛テリーヤキバーガー」を同じく期間限定で発売したが、販売実績は72万食と大ブレイクというほどのヒットにはならなかった。しかし、今期は折からの「食べるラー油ブーム」、桃屋の通称「桃ラー」、ヱスビーの「エスラー」の入手困難も手伝って<当初の100万食を大幅に上回り、最終的には210万食を売り上げる大ヒット>(同社ニュースリリース)になったという。
 桃屋、ヱスビーともに生産が間に合わない品薄が続く一方、ラー油ブームはコンビニや外食を巻き込んで、食べるラー油を利用したメニュー開発が盛んに行われるステージに移行している。モスもそこに目を付け、「ラー油バーガー」を販売再開するという。それも<今回、なんとか100万食分の食材を確保できましたので、個数限定ではございますが
再発売いたします>(同)とのことなので、断続的に売上げをじりじりと積み上げていくことができる状態であるわけだ。

 ヒット商品の一方で展開するモスの次なる一手は、意外と地味にも思える。地元の味を再現した、5つの“ご当地バーガー”を展開するというのである。
 <大ヒット“ラー油”に続くか!? モス“全国ご当地バーガー”の全ぼうが明らかに>(7月25日 東京ウォーカー)
 http://news.walkerplus.com/2010/0725/5/

 8月24日から発売される各エリアのメニューは、北海道・東北・新潟「ザンギバーガー」、関東・甲信・静岡「ポークソテーバーガー生姜風味」、中京・北陸・関西「イベリコ豚メンチカツバーガー」、中国・四国・九州「明太とり天バーガー」、沖縄「島野菜のピザドック ゴーヤ」「島野菜のピザドックトマト&コーン」である。
 ラー油バーガーではテリー伊藤と番組が製品コンセプトを櫻田社長にプレゼンするなど、派手な開発ステップも注目されたが、ご当地メニューは<各地域のフランチャイズ店舗スタッフと本部がアイデアを出し合い協力して作った>という手作り感たっぷりである。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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