レコメンデーションやLPOなど、Web上で「おもてなし」を標榜するサービスが増えてきた。Web上での「おもてなし」は技術で可能になるのか?
昨今、Webサイトの中で「おもてなし」や「ホスピタリティ」をどのように実現するかといった話題を見かけるようになった。
これまでのWeb上でのユーザー満足度を図る手立てとしては、ユーザビリティやアクセサビリティといったWebサイトを訪れた顧客がスムーズにストレスなく目的のページにたどり着くことができるかといったテーマであったのに対し、リアルな店舗やサービスで行われているような「おもてなし」をいかに実現するか、あるいはWebサイト上でのユーザーエクスペリエンスをいかに向上させるか、という課題に移ってきているともいえるだろう。
こうした課題の変化の理由は、Webサイトにおける技術力の進歩であることは間違いない。特にアマゾンや楽天におけるレコメンデーションの機能は、プル型のサービスからプッシュ型のサービスを可能にしたともいえる。
「おもてなし」の解釈は簡単ではないが、便宜上マーケティング的観点から、「顧客が持っていた目的にかなうサービスを受けることができた」「顧客が想像していた以上のサービス、商品提供を受けた」のふたつとしてみる。
目的を持ってWebサイトにアクセスする経路としては、(1)検索エンジン(リスティング含む)からのアクセス(2)、バナー、メール、他媒体からでの広告(QR、検索誘導含む)などの広告 (3)PRやブログ、ニュースサイトからのアクセスの3つで大半を占めるであろうから、おもてなしの第一「目的にかなうサービス」は、「目的にあったWebサイトコンテンツ」となる。つまり「LPO(Landing Page Optimization)」をいかに行うかとなる。
広告からの流入は、広告での表記内容にランディングページの内容を対応することで、ある程度の目的の共有は可能だろう。しかし、異なる解釈による記事からの流入や検索エンジンからのアクセスの場合、商品やサービスにもよるが、顧客の目的がひとつしかない場合は少なくさまざまであり、その中で目的や求める価値を絞り込むのは困難を極める。
同じ「新幹線」でも「新幹線 車両」と「新幹線 チケット」では、求めているものは全く異なるはずだが、スポンサードコーナーには、「格安」の文字が並ぶ。
もう一方の「顧客が想像していた以上のサービス」をWeb上で行うとなると、顧客が知らなかった商品やサービスを提案する「レコメンデーション」だろう。
レコメンド機能は大きく分けて、運営側の狙い定め、顧客の属性や履歴に合わせて主導で設定するルールベースで作成するものと、アマゾンの「この商品を買った人は他にこのような商品を買っています」に代表されるような、Webサイトへの履歴を蓄積し、その人へのお勧めを自動的に表示するものの2種類がある。
自動表示の場合は、自動で情報が更新され、常に新しい生の情報が表示されるというメリットもあるが、ある程度の量が集まらないと機能しないし、どのWebサイトもアマゾンのような充実した商品とアクセス数があるわけでもなく、本質的に顧客が満足できる提案ができるかどうかは未知数である場合が多い。
それに対し手動のほうは、運営側の戦略を持って提案でき、狙ったクロスセリングが実現する可能性が高い。ただしターゲットの行動とサービス内容を常に分析、吟味し、提案し続けなければならないために手間もコストもかかる。また、作られたサービスゆえに、ユーザーにとっては、招かざるサービスである場合もあり、ユーザー側にとってはそれがみえみえとなり、「おもてなし」の逆効果になりかねない場合もある。
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