圧倒的なコストリーダー、マクドナルドが君臨するハンバーガー市場において、下位企業がその意地をかけた戦いを展開しはじめた。フレッシュネスバーガーとバーガーキングである。
日経MJ9月20日フードビジネス面に「フレッシュネス、初のCM 健康思考訴え認知度向上」との記事が掲載された。11月5日から開始されるというCMは、大手ハンバーガーチェーンは<大半が商品やキャンペーン告知が目的。フレッシュネスのブランド認知に絞ったテレビCMは珍しい>(同記事)という。
消費者の商品・ブランド認知から購入に至までの態度変容はAIDMAモデルで表すことが多い。Attention(認知)→Interest(興味)→Desire(欲求)→Memory(記憶)→Action(購買行動)である。
記事によると、首都圏及び近畿圏におけるハンバーガーチェーンの認知度と利用率は、マクドナルド99.8%:97.5%、モスバーガー99.3%:85.8%、ロッテリア98.8%:79.8%であるのに対し、フレッシュネスバーガーは41.8%:24.8%に留まるという。業界第3位のロッテリアも店舗数は2009年2月時点で524店あるのに対し、フレッシュネスバーガーは189店と規模の差があるため利用率の低さはやむを得ない。しかし、今後300店体制を目指す戦略を打ち出している以上、まずは認知度の低さから解消していくのは急務であるということだろう。
実際に、同社の戦略課題は明確だ。巨大マッシュルームを使った「ベジタブルマッシュルームバーガー」が人気を博すなど、ブランドを挙げてヘルシー志向の加速している。同社の特徴であった喫煙席も以前と比べて分煙化や縮小を進めているのも、健康志向の文脈であろう。記事でも<肉類を使わないパティ仕様の「ベジタブルバーガー」などに象徴される独自のブランドを訴えていく>とある。ターゲットを「ヘルシー志向層」と絞り込み、まずはAttention→Interestを強化。次いで、メニューや店舗の魅力で欲求(Desire)喚起集客し、利用率(Action)も改善していく。そうして、規模だけでは勝負できない上位チェーンに対して、まずはニッチャーとしてのポジションを堅固にするという戦略にかけているのだ。
マス広告による集客と対照的な戦略をとっているのがバーガーキングだ。世界的にはマクドナルドに次ぐ第2位のポジションであるが、日本では2001年に一度は日本から撤退。2007年に再上陸するも、現在のところ店舗数は首都圏に35店あるのみだ。マス手法では効率が合わない。
そこで同社が9月16日から開始したのが、<『WHOPPER®』おかわり自由の「“B”iking」 キャンペーン。である。
(同社ニュースリリース)http://www.burgerkingjapan.co.jp/release/pdf/PressRelease1016_02.pdf
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。