名前を覚えろ!名前を呼べ! ~政治家の支持者獲得手法から学ぶ~

2010.09.22

経営・マネジメント

名前を覚えろ!名前を呼べ! ~政治家の支持者獲得手法から学ぶ~

赤秀 有為
エフィジェント株式会社 代表取締役コンサルタント

より多くの支持者を獲得する為に、「人の名前を覚え 相手に重要感を持たせる」といった事を第一義的に考え、日頃から実践されている政治家が多数います。プロジェクトマネージャも、関係者の支持を必要とするという点では共通であり、この支持者獲得手法を見習うべきである。

■名前で呼ばれると好意を持ちたくなる。
「おはようございます」と「アカヒデさん、おはようございます」。
「ねぇねぇ、この前の話なのだけど・・・」と「アカヒデさん、この前の話なのだけど・・・」。
いずれも、明示的に名前で呼ばれる後者の方が嬉しくなりますね。人の基本的な欲求である自分の存在感や重要感といったものが満たされるのでしょう。いわゆる、マズローの欲求5段階説における4番目の欲求「自我の欲求」にあたる。
そして、存在感や重要感を満たしてくれた相手に対して どう思うのでしょうか?当然、自分を認めてくれたわけですから、良い印象を持ち 好意を持ちたくなりますよね。

■「名前を覚える/呼ぶ」を苦手とする人はたくさんいる。
名前を覚えない人、たくさんいますね。当人は「名前を覚えるの、苦手なんだよね。」なんて言い訳をして 一向に改善しない。これは、苦手ではなくて そもそも人の名前を覚えようとしていないだけでしょ!と言いたくなりますね。
また 名前を呼ばない人も たくさんいますね。特に年配の方に多い。人を呼ぶ時は、専ら「おーい」とか「ちょっと」。これは、照れとかプライドとかが行動を阻害しているのでしょう。
読者の皆さんの中でも、耳の痛い方もおられるのではないでしょうか?

ただ、プロジェクトマネージャや事業マネージャが、「名前を覚えない/呼ばない」といった状況だと 大きな問題である。彼らは、関係者に対して影響力を持ち、関係者の支持/協力を必要とする立場にある。すなわち、自分の業務を有利に進め 成功させる為に、より多くの支持者を集める事が重要なのである。

■支持者獲得に奔走する政治家を見習え!
支持者を集めるという点で 最もシビアな職業といえば 政治家と言えるでしょう。
政治家は、言うまでも無く 選挙が大事。ひとりでも多くの有権者の支持を取り付けることが重要である。その有効策として、先ず 「人の名前を覚え 相手に重要感を持たせる」といった事を第一義的に考え、日頃から実践されている政治家が多数います。例えば、フランクリン・ルーズベルト、ナポレオン3世、田中角栄。特に、ナポレオン3世なんかは、紹介された事のある人は全部覚えていると公言していたとの事である。

でも、支持者獲得策として「人の名前を覚え 相手に重要感を持たせる」は、ホントに有効なのだろうか?
有効なのである。なぜなら、人は 論理ではなく感情の動物だからである。
つい先日 民主党の代表選を終えました。菅さんの圧勝でしたね。「政治とカネ」問題を抱えた小沢さんに対する世論の反感が大きかったですね。私もそのひとり。で、例えば、この選挙の期間に、私の街に小沢さんが訪れたとします。ひょんな事から、たまたま 道端で 小沢さんと 少しの時間 お話をする機会があったとします。この時点で、「小沢さん、結構 イイ人だったよ!」という心情になる。で、次の日、また 偶然お会いする。その時に、「アカヒデさん、昨日はどうも!」なんて 声を掛けられたら、「あの小沢さんが 俺の名を。。。」たちまちファンになってしまいますよね。かなり飛躍した空想になりましたが、要は 人間は、論理ではなく感情の動物なのです。政策やらリーダーシップ能力やら人間性等 頭でいろいろな要素をロジカルに考えて「小沢さんより菅さんが首相にふさわしい」という考えになっていたとしても、こういった重要感を与えられる事で「無条件に好き/応援する」という感情が強まり、往々にして それが勝ってしまうものなのです。
こういった「名前を覚える/呼ぶ」といった行為は、単純で地味だが 支援者獲得に向けて 確実に有効な手法といえる。プロジェクトマネージャや事業マネージャは ぜひ見習って欲しい。

次のページ■人は自分の名前に大きな誇りを持っている。

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赤秀 有為

エフィジェント株式会社 代表取締役コンサルタント

慶應義塾大学 環境情報学部卒。IBM/サン・マイクロシステムズ/PwCコンサルティング社にて、いずれもコンサルタント職として計10年在籍。 その後、エフィジェント社を創業し、代表コンサルタントとして、システムコンサルティング、システム開発活動に従事。専門システムは、デジタルサイネージ/EC/業務システム。

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