猛暑がようやく落ち着く気配を見せ、秋の味の話題もちらほら聞こえてきた。そして、季節の味覚の如く恒例ともなっている、毎年1~2回発売される変わり種ペプシ。この秋の新作は「栗」がテーマだ。
<「ペプシモンブラン」季節限定発売 ― 人気のデザート「モンブラン」をモチーフにした、ペプシが新登場 ― >(9月21日サントリー ニュースリリース)
http://www.suntory.co.jp/news/2010/10881.html
栗のホッコリとした甘み。それを使ったスイーツ。その味を思うと思わずほほが緩む。ラ・プレシューズ、ラレーヌ、千疋屋などを筆頭に、「モンブラン」も大人気だ。
が、しかし、「ペプシモンブラン」は不味いはずなのだ。いや、不味くなくてはならないのである。その理由を説明する前に、変わり種ペプシの歴史を辿ってみよう。
変わり種ペプシは2007年夏、キュウリ味の「ペプシ・キューカンバー」で衝撃のデビューをしたと多くの人が認知している。キュウリ味というよりも、同じ瓜科のスイカの白い部分のような、薄甘く青臭いようなビミョー味がネット上で大きな話題となった。実際にはそれ以前にも、レッド、ゴールド、カーニバルなどの変わり種を投入してきたペプシ。だが、2007年頃、BlogやSNSなどでの口コミの情報量が増大したことも手伝って、それまでと一線を画す大きな話題となったのだ。
以降、2008年夏、カクテルからヒントを得た「ペプシブルーハワイ」。こってりとパイナップル甘く、ビミョーな苦みを少し感じる味わいだった。同年冬は、乳性炭酸飲料風の「ペプシホワイト」。少し飲むと普通に美味しいのだが、やがてビミョーなケミカル臭が感じられ、小児用シロップ薬が思い出される気がした。2009年は「和」がテーマだったといい、夏は「ペプシしそ」。しその酎ハイを想起させるも、ホワイトに用いられていたケミカルさが強化された感が強かった。ホワイトとしそのケミカルさは、一部ドクターペッパーなどの味わいを好む人には好評であったが、多くの人は「1本飲み終えられない」と評した。
ところが、その不味い味に変化が起きたのが同年秋。「ペプシあずき」。「甘過ぎ」「なぜ、しるこのような粉っぽさを感じる?」といった声も聞かれたが、「意外に美味しい」との票が多かった。さらに、今年5月に発売された「ペプシバオバブ」。「アフリカに生育する樹木“バオバブ”をモチーフにした」という謎なコンセプトとは裏腹に、そのフルーティーな味わいは「美味しい!」と多くの人が衝撃を受けていた。
徐々においしさを増し、フツーに美味しくなった変わり種ペプシ。しかし、本来のその狙いはそれではダメなのだ。
変わり種ペプシの戦略的目標が2009年10月に日経新聞関連のサイトに掲載されていた。当該記事のリンクは既に消滅しているが、要旨を以下に記す。記事タイトルは<「サントリー、ペプシPRへ話題作り シソ・アズキ…相次ぎ『奇策』」>。
記事中でペプシブランドを運営するサントリー食品・食品事業部の石原圭子課長がインタビューに応え、<「2本目を買ってもらうことは期待していない」「限定品は味わいの驚きでブランドの新しさや楽しさを発信する手段。商品自体がペプシのPRになっている」>と言い切っている。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。