痩せたい!モテたい!このメタボなお腹を何とかしたい!健康志向の高まりという社会の流れに加えて08年4月からの「メタボ検診」の法制化以来、「ダイエット」は老若男女・全国民的な関心事になっている。そこに健康志向という新た軸を加えた対決が始まっている。
そのそも「ダイエット」の本来の意味は「美容・健康保持のために食事の量・種類を制限すること(広辞苑第6版)」である。しかし、昨今は広義の日本語として痩身目的の運動までを含めて用いる場合が多い。また、結構ブームの一例としては、来年11年2月開催予定の東京マラソンは定員3万2,000人に対して29万4,469人が応募と、実に倍率有9.2倍にも及んだという。
「マラソンまでは無理だけど、せめてウォーキングから…」という層も中高年だけでなく女性にも拡大している。漫然と歩くだけでなく、目標を決めて成果を確認するツールとして「歩数計」の販売も拡大し、少し古いデータだが<2007年の歩数計の販売台数は540万台程度と、2年前の2005年に比べて1.4倍拡大した>(SMBCコンサルティング)という。
さらに機器は進化し次なる主戦場は「活動量計」に移行すると予想される。
日経新聞10月7日新製品欄・「新製品バトル」のコーナーにタニタとパナソニックの活動量計の比較が掲載されていた。そもそも「活動量計」とは、歩数計が歩行した歩数を計測することを基本とし、それによるカロリー消費量などを計算・表示する機能を有するものをいう。それに対して活動量計は、特定の運動・特定の時間だけでなく家事や仕事などのあらゆる日常活動における動きを計測し、消費カロリー量を算出してくれるのだ。
マラソンに挑戦しようという超健康志向アクティブ層はいうに及ばず、ウォーキングという軽い運動すら継続の自信を持てない人も多い。だからといって、諦めるわけにはいかない。そんな層にとっては歩数計と活動量計の違いは大きい。ダイエットのためにはとにもかくにも、『摂取カロリー < 消費カロリー』の状態を継続するしかない。日常の活動全体の中で、目標達成に足りない消費分を知ることができるからだ。そうすれば、消費を補う運動をするなり、摂取する食事量を制限するなりと手立てができる。格段にダイエットの成功率が高まる(と、思うことができる)。
さて、パナソニックとタニタの活動量計は両社の戦略ポジションを如実に表した製品となっている。
記事で紹介されているパナソニックの「デイカロリEW-NK30」のウリは、「ダイエット目標設定」。<減らしたい体重を入力すると、一定期間で目標を達成するのに必要な1日の消費カロリーが自動で設定される。目標設定まであと何キロカロリーの消費が必要で、そのためには時速何キロで何歩歩くなど具体的なアドバイスがある>(日経記事より)という。実売価格で4,000円前後と、手ごろな価格に設定されている。
一方のタニタの新製品は「カロリズムスマートAM-121」。前機種の容量を40%縮小するなどの改良を加えたというが、何よりのウリはタニタの独自技術にある。記事中には記述が小さいが、<消費カロリーや脂肪燃焼量のほか、安静時の代謝などを計測・表示する>という。ぼーっと座っている時も、寝ている時も、「基礎代謝」によってカロリーを消費している。つまり、1日分丸ごとの消費カロリーを元に、『摂取カロリー < 消費カロリー』を実現すべくトライできるのだ。そのメカニズムはタニタのホームページ( http://tinyurl.com/24vymmn )に詳しいが、それこそが、タニタならではのUSP(Unique Selling Proposition=競合が実現し得ない自社独自の提供価値)である。実売価格は競合のパナソニック製と比べて倍の8,000円前後である。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。