プロジェクトをデザインする上で、筆者が考えるメソッドやポイント等を紹介していく。今回は、事業企画等の検討プロジェクトを例に、重要なデザイン要素の一つである「検討アプローチ」にフォーカスをあてて解説する。
■デザインすべき要素は?
プロジェクトデザインの基本フレームワークとして、5W2Hを紹介したい。
5W1Hとは、説明するまでも無いが、「When(いつ)/Where(どこで)/Who(誰が)/What(何を)/Why(なぜ)/How(どのようにして)」である。
で、5W2Hとは、この5W1Hに「How much(どれくらい)」を含めたものになる。
この5W2Hの7要素について、検討プロジェクトにおける具体的なデザイン要素名に置き換えると下記になる。
・Why(なぜ) : (プロジェクトの)目的
・How Much(どれくらい) : 検討スコープ
・How(どのようにして) : 検討アプローチ
・What(何を) : 検討項目
・Who(誰が) : 検討体制
・Where(どこで) : 検討場所(会議体)
・When(いつ) : 検討スケジュール
■ポイントとなるデザイン要素は?
デザイン要素の中で「重要なものは何か?」という視点では、上記5W2H全てが 検討成果に大きな影響を及ぼす重要なものであり、一概に特定要素を挙げる事は難しい。各々のプロジェクト特性にも大きく依存する。
但し、デザインするにあたって「最も時間を費やすべきものは何か?」という視点では、「検討アプローチ」と考える。「検討スコープ」や「検討体制」等の要素も 重要で 深い検討を必要とするが、一定以上の時間を費やすべきではない。何を言いたいかというと、これらの要素は、時間をかければかけるほど 質が向上するというものではないという事である。一定時間を越えて検討しても、質向上の余地は狭いという事である。
一方、「検討アプローチ」については、逆である。時間をかければかけるほど、質向上に繋がり易い。時間の許す限りトコトン再考を重ねたいところである。
検討プロジェクトには メソッドが無い為、全くの白紙から 検討アプローチを考える必要がある。漠然としている検討対象をどう要素分解するか?どんな順番で検討するか?どんな手法で検討するか?検討に必要となる参考データをどう取り込むか?等といった事についてのデザイン検討が必要である。
■「検討アプローチ」のあるべきデザインは?
できるだけ具体的に、“成功への道筋がイメージできている”といった点に尽きる。もちろん、これは検討結果のイメージではなく、(皆が活発に意見を交わしている情景等)検討過程のイメージである。
#そもそも、検討結果をイメージできる(答えを知っている)のであれば、検討する必要は無いという事になる。
もちろん、イメージ通りの展開にならず イメージから逸れてしまう事がほとんどであるが、少なくとも 自分なりにイメージを持っている事が重要なのである。
こんな“検討テーマ”をふったら、「こんな意見やあんな意見が出るだろうな!」と具体的なイメージができている事である。こんな“検討テーマ”をふったら、「どんな意見が出るのだろう?当日 楽しみだ!」では NGである。十中八九 当日何も意見が出ないといった有り様になるのが落ちである。
エフィジェント株式会社 赤秀有為
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2009.02.10
2015.01.26
エフィジェント株式会社 代表取締役コンサルタント
慶應義塾大学 環境情報学部卒。IBM/サン・マイクロシステムズ/PwCコンサルティング社にて、いずれもコンサルタント職として計10年在籍。 その後、エフィジェント社を創業し、代表コンサルタントとして、システムコンサルティング、システム開発活動に従事。専門システムは、デジタルサイネージ/EC/業務システム。