日本に上陸した欧米アパレルは、日本に現地法人を設置し、そのトップには日本人を採用している。同様に、中国法人には中国人を採用するのが一般的だ。しかし、日本企業はなぜか日本人を派遣するケースが多い。
9.現地法人の現地化
中国市場進出においては、中国政府機関、取引先である中国企業、中国人社員、中国人消費者とのコミュニケーションが必要不可欠である。しかし、日本と中国では、言語、生活習慣、思考パターン、嗜好等が大きく異なっており、それを日本人が完全に理解することは非常に困難だ。欧米企業が中国の現地法人のトップに中国人を採用するのに対し、なぜか日本企業の多くは日本から出向した日本人がトップに座っている。
中国の日本企業の多くが、社員の定着率の低さに悩んでいるが、その原因は二つある。給与水準の低さとキャリアアップの可能性の低さである。日本企業が中国人社員に支払う給与は欧米企業の半分程度である。また、何年勤めてもマネージャーになれる可能性はほとんどない。そのため、中国人社員の多くは日本企業に勤めても1年程度で辞めていく。日本企業のキャリアを活かして、他の企業に転職することでキャリアアップを図るのだ。
欧米企業は、董事長に欧米人、総経理に中国人というケースが多い。目標設定と報酬を明確に設定し、ノルマを達成できれば高額の報酬を与え、達成できなければ解雇される。こうした欧米企業の対応は、中国人にも好まれている。キャリアに対する中国人の発想は、アメリカ人と似ている。実力主義、成果主義は望むところなのだ。
現地法人を徹底した実力主義、成果主義で運営するためには、日本本社の変革が不可欠である。そうしないと、中国法人で思い切った給与制度は採用できないだろう。本社がグローバル化しない限り、グローバル化した中国に対応することは難しいのだ。
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2009.02.10
2015.01.26