中国ビジネス10のミスマッチ(10/10)

2007.10.12

経営・マネジメント

中国ビジネス10のミスマッチ(10/10)

坂口 昌章

ヨーロッパのテキスタイル、アパレル企業のトップのライフスタイルは優雅だ。また、オフィス環境も整備されている。しかし、日本の繊維業界のトップも社員もただ一生懸命働いているだけで、豊かなライフスタイルを楽しんでいる人は少ない。しかし、中国では・・・。

10.アパレル企業のオフィス環境、経営者のライフスタイル

 中国のラグジュアリー・アパレル企業は、オフィス環境にもこだわっている。ファッションやデザインをビジネスにする以上、そのオフィス・デザインにこだわるのは当然というわけだ。
 杭州の婦人アパレル企業「ヘンペル」は、竹が植えられた吹き抜けの中庭を囲むようにオフィスが並び、壁には、自社ブランドの巨大なイメージ写真が展示されている。その一角には自社3ブランドの原寸大のショップが作られ、最新コレクションが店頭と同様に並んでいる。テキスタイル資料室には、日本のテキスタイルコンバーターよりも整然とスワッチサンプルが並び、OEM生産に対応している。
 北京の紳士アパレル「依文」は、本社のインテリアを全てオリジナルでデザインしている。各フロアごとに異なるテーマを設定し、床、壁、照明、家具、商談用テーブル等をそれぞれのテーマに合わせてデザインしているのだ。
 先端的な中国アパレル企業は、IT化も進んでいる。一人一台のパソコンに向かい、ペーパーレスの実現で整然としたオフィスの中で仕事をしている。日本の先端IT企業のイメージだ。
 少なくともオフィス環境を見る限り、中国アパレル企業は、日本を通り越して欧米の水準に達しているようだ。経営者のライフスタイルも欧米に近い。社内や取引先だけでなく、多くの芸術家や実業家と交流を持ち、パーティーに出掛け、自宅のインテリアや余暇時間のライフスタイルにも気を配っている。ビジネスの基本はインフォーマルな関係であり、そのためには経営者自らの人間性を磨かなければならないという欧米流の常識は、人脈を大切にする中国人の発想に近いのだろう。
 経営者自らが自分のライフスタイルと社員のライフスタイルを考え、その理想の実現のためにファッションビジネスを展開している中国トップクラスのアパレル企業の姿を見るにつけ、中国の量だけでない「質的成長」に圧倒されるのである。

*ミスマッチの具体的解決を

中国と日本は異質だ。しかし、冷静に考えれば中国人と欧米人が似ていることに気がつくだろう。むしろ、異質なのは日本人の方なのだ。
中国における日本人の戦略や行動にはミスマッチが多い。しかし、ミスマッチを正確に理解できれば、その解決方法を考えることもできるだろう。最も危険なのは、実際に存在しているミスマッチを気付かないふりをして、問題を先送りにすることである。
中国市場進出は日本企業が国際化するチャンスだ。中国市場戦略に成功すれば、その次には世界市場が待っているのである。

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