YouTube宇多田ヒカルPV消滅事件にみるトリプルメディア戦略のリスク

2010.11.30

IT・WEB

YouTube宇多田ヒカルPV消滅事件にみるトリプルメディア戦略のリスク

安田 英久
株式会社インプレスビジネスメディア Web担当者Forum編集長

今日は、Facebookなどの巨大ソーシャルメディアと企業の距離の置き方に関して。企業サイトを丸ごとFacebookに移行する例もあるようですが、本当にそれでいいのでしょうか?

「トリプルメディア戦略」という考えが最近よく言われるようになっています。自社サイトの「所有するメディア」、マスメディアや商業メディアなどの「購入するメディア」と、ソーシャルメディアやPR露出などの「獲得するメディア」をどう使うかという観点ですね。

ただ、自社メディアと商業メディアは以前からあったものですから、トリプルメディアという切り口の話は、自ずとソーシャルメディア系の話題になりがちです。

特にFacebookのファンページやYouTubeのチャンネルは「企業の顔」を保ちながらソーシャルメディアのユーザーたちと接点をもてるということで注目されています。

最近では、「ソーシャルに飛び込む」ということで、企業サイトのURLにアクセスすると、リダイレクトされてFacebook上のファンページに飛ぶこともあります。つまり、Facebookファンページを企業サイトとして扱っているのです。自社メディアをソーシャルメディア内に持ち出した形ですね。

しかし、それでいいのでしょうか?

先日、歌手の宇多田ヒカルさんがYouTubeにアップロードしていた公式プロモーションビデオが突然消えてしまうという事件がありました。

原因は、宇多田ヒカルさんが契約しているレコード会社が著作権侵害コンテンツの削除依頼をYouTubeに出す作業をしている企業が、間違って削除依頼をしてしまったとのこと。間もなく動画は元に戻りましたが、しばらくの間は閲覧できない状態になっていました。

この誤削除では、問題があったのは最初の削除依頼だけで、グーグル(YouTube)は、前回のコラムで解説したDMCAの「ノーティス・アンド・テイクダウン」に基づく削除として適切に行っているようです。つまり、DMCAに従ったフローを設けているサービス事業者は、著作権者(と名乗る人)から権利侵害コンテンツだという連絡があれば、まず削除して、それが間違いだったらあとから戻すという流れをとるのです。

・あなたの著作物をパクったサイトをGoogle八分に追いやる正しい手順
http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2010/11/16/9201

FacebookやYouTubeなどのソーシャルメディアに企業が飛び込んで行くのは非常に良いことだと思うのですが、そこは第三者の場です。そのため、上記のようなトラブルに遭う可能性があります(特にサービス事業者が米国の場合)。

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安田 英久

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