消費者主導のメディアの台頭によって、口コミの重要性が高まっています。「口コミ」を利用する口コミ・マーケティングは有効なのでしょうか?
ブログやSNSなど消費者が自分の意思で自由に情報を発信したり、入手できるメディアが出現して、利用者が急速に増えています。これらの手軽なメディアの台頭によって消費者の購買行動における「口コミ」の重要性が高まっています。90年代半ばくらいまでは、家族、友人、職場の同僚など、直接接触がある人々が口コミを担っていました。しかし、90年代後半以降のインターネットの普及によって、口コミは人的接触によるものに限らず、インターネットを通して遠隔地間でも、相手が誰か分からなくてさえも、実現するようになりました。半数近くの人がブログを読んで購買を決めたという消費者調査もあります。ブログなどにおける口コミを上手く活用しようというビジネスが生まれても不思議ではありません。
口コミは、人が他の人に情報を伝えることによって起ります。しかし、情報源となるマーケター(情報発信企業)は、口コミの伝播において、特別何もできません。お金を払って情報の発信をお願いしても、マーケターの望み通りに情報が伝えられるのは1段階程度です。次に伝え聞く人、その次に伝え聞く人が当初の情報と同じ情報を受け取るとは限りません。多くの人を雇って大量な情報発信を行ったとしても、情報を受けた人から先の情報の伝達は基本的には制御不能になります。従って、口コミ・マーケティングは無効です。特定の情報を対象者層に対して広く伝えたくても思惑通りに伝わるとは限りません。テレビCM、新聞や雑誌の広告にお金をかけて強いメッセージを送ることはできますが、それが対象者層に受け入れら、浸透するとは限りません。口コミは計画できません。計画しようのないものには、費用の使いようもありません。お金をかけるのは自由ですが、無駄にするか、勉強するための勉強をすることになることでしょう。口コミ・マーケティングの専門家に高額な報酬を支払っても根本的な改善は見込めないことでしょう。口コミは、お金がかからずに、一見安価なマーケティング手段のように見えます。しかし、それは計画しようがないからです。決して口コミが安価で得られるわけではありません。
テクニックとしての口コミ・マーケティングは無効です。口コミ情報が市場に氾濫していて、意図的な口コミ情報が、対象となる顧客層の注意をひくこと自体が困難になっています。だからと言ってマーケターは何もしないわけにはいきません。マーケターは、製品やサービスについて正しく伝え、対象となる顧客層の行動を促し、具体的な購買という行動に結び付けなければなりません。
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