企業で購買改革を進めている方々とお話をしていて、共通する話題があります。 最終的には「人の力」。 それを活かすには・・・
企業で購買改革を進めている方々とお話をしていて、共通する話題があります。
それは「最終的には人の力ですよね。」という話題です。
いろいろプロセス改革、ITの活用、体制整備、KPIの設定とモニタリングなどなど、進めてきても最終的にはバイヤー個々の能力向上、もっと言えば、能力を高めたいとか、新しい購買のやり方を進めていきたい、とかの「意識が低い」ことが一番の問題である、と皆さんおっしゃいます。
また先日ある購買改革プロジェクトリーダーからこういう質問を受けました。
「調達・購買業務で最終的には人の力と仕組みの力のどちらを重視すべきか?」
私はそれに対して「人の力に依存するところはどうしても残ります。特にサプライヤや社内ユーザー等の関連部署とのコミュニケーションだったり、ファシリテーションだったり、モチベーションを与えていく能力などは人に依存します。
ただし、大切なのは、それを単に『属人的な能力』に終わらせるのではなく、人の力を生かすしくみ』をつくることです。」と答えました。
それでは『人の力を生かすしくみ』とは何でしょうか?
それは「属人的な能力を育てたり共有したりするための仕組み」だと言えます。
例えば研修制度はその典型的な例でしょう。資格試験などもその一例です。
もっと言えば日本の得意技であったOJT(オンザジョブトレーニング)や徒弟制度もそうでしょう。
つまり、人の力に頼ることはやむを得ないこととして、それを継承し、組織の力に変えていくためのしかけとか制度『人の力を生かすしくみ』を持つことが重要なのです。
こう考えるとそんなに難しいことではありません。
ある企業では購買の資格制度を上手く活用し、希望者全員に対して資格取得支援を行い、今年は全バイヤーの約5%の方が資格を取得しました。
これは資格制度を上手く活用し、資格取得のための勉強をバイヤーに促し、少なくとも今までやってきたやり方を体系化して理解させる=暗黙知を形式知化すると共に、バイヤー個々の意識や知識レベルをあげる取組みに他なりません。
別のある企業では開発購買を推進する上で、技術情報やサプライヤ情報を持ち、開発部隊に対して有益な情報を提供できるバイヤーにマイスターという社内資格を与えるというやり方で、人の力を育成する仕組みを持っています。
マイスターは開発部門からも頼りにされるのでこの制度は人の力を育成するだけでなく、社内で活用することにもつながっています。
マイスターは報酬面でのインセンティブよりも名誉職であり、それだけでも十分モチベーションアップにつながっているといういい事例です。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。