リーマンショック時にはとにかく支出を抑え、我慢するというのが大半の企業行動だったように思いますが、今回の二番底でより深刻なのは円高で、より一層開発・生産の海外移転が進んでいる。 そんな中、時代に逆行するような記事を見かけました。
今春にはやや回復してきたと思われた景気ですが、その後も円高、株価低迷、消費低迷が続いており景気回復する兆しがあまり見えてきません。
リーマンショック時にはとにかく支出を抑え、我慢するというのが大半の企業行動だったように思いますが、今回の二番底でより深刻なのは円高で、より一層開発・生産の海外移転が進んでいることです。
実際に大手企業だけでなく中堅、中小企業でも海外移転をというのが大方の状況ではないでしょうか?
トヨタ自動車は先日、この状況に対して豊田社長が「(トヨタは)海外にそう簡単に(生産を)持っていくことはしない」と発言しています。
しかし、ウオールストリートジャーナルによると、トヨタ自動車は5年前48%だった海外生産比率が今年、57%に達する見込みとのことです。
また、同社はタイでハイブリッド車「プリウス」の量産を海外で初めてスタートさせます。
また、昨年同比率が66%だった日産自動車は、71%が海外生産となるそうで。
このように製造業の海外移転はより一層加速化している状況と言えます。
しかし先日、時代に逆行するような記事を見かけました。
「米GE、家電製品の国内生産に回帰」という10月19日付の英フィナンシャル・タイムズ紙の記事です。
「米ゼネラル・エレクトリック(GE)は、2014年までに米国内で冷蔵庫を設計・製造する拠点を4カ所、4億3200万ドルかけて設立する方針だ。」
「GE電化製品部門は、今後4年間で米国で10億ドル以上の投資を行う
と発表しており、これは約1300人の雇用創出効果がある。」とのことです。
これは生産工場の移転先であったメキシコや中国での労働コストが上昇していることが第一の理由として上げられています。
また、地方自治体や州および連邦政府の税制優遇措置もこの動きに一役買っているようです。それに加え、米国内の労働賃金自体も相当抑えられていることが前提になっているようです。
GEは米国内拠点はエネルギー効率が良い新製品開発および生産を行う拠点として、開発スピードや製品付加価値で勝負する方向で棲み分けを図るようです。
日本の円高=米国のドル安など、状況は日米でかなり異なるもののどちらの方向が正しい判断と言えるのでしょうか?
それは誰にも分かりません。しかし、一つ言えることは人件費格差や経済格差を使った事業モデルは早晩その時間差は解消する、ということです。
つまり経済発展の過程でいつかは格差が解消する方向に向かうということです。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。