1999年男女雇用機会均等法が改正され、セクハラを行った場合加害者ばかりでなく企業にその防止義務が課せられました。米国では2004年の大手証券会社に対する多大な損害賠償が有名ですが、日本でも証券会社や鉄鋼会社が訴えられています。
プライベートの集まりでのセクハラ発言であっても当然周囲のムードは悪くなります。しかし、相手から嫌われてお終い。
そんな相手とは付き合わなければいいわけですから、さほど大きな問題にはならないかもしれません。
しかし、これが仕事環境におけるものになってくると性質が悪い。
嫌だから付き合わなければいいということでは済まされません。しかもセクハラをした相手が上司や取引先だったりすれば、そのときの対応が後々人間関係をこじれさせたり、その職場にイズらい雰囲気にさせたりする可能性もあるのです。
私が会社員だったころ、部内の懇親会で部下の女性が泣きながらその場から去っていきました。何事かと思い、たずねてみるとある男性部長にセクハラ発言をされたというのです。
どんな内容だったのか聞いてみると、いつもその部長が誰にでも言うセリフでした。要は「おばさん」という言葉をあれこれ言い方を変えて面白おかしく話すのです。懇親会の席ではいつも盛り上がると思って、30代以上の女性を槍玉に挙げます。どちらかといえば、愛されキャラの部長でしたからベテランの女性達は「仕方がないわね~」などと適当にあしらっていました。
私も彼から「もう結婚はむりやろ?」とか「お前に男なんか寄り付かない」などと悪たれを突かれていましたが、「部長、その足の長さでは私と歩調が合わなくて一緒に外出するのも大変ですね?!」などと切り返し、それがある意味で親しみの印としてコミュニケーションはよかったと思い出されます。
この部長も感の悪い人ではありませんでしたから、言える相手とそうでない相手をわきまえてセクハラ紛いの発言をしていたと思います。
泣いて逃げていった彼女も社内では結構元気のよいキャラクター。いつもだったら、私が「おいおい」と止めたくなるほどの切り返しを男性たちにするような女性。その日はさぞかしその発言が彼女の癇に障ったのでしょう。
そうです。セクハラ発言は何を言ったかというよりも、相手がどう受けとめたかが重要なのです。すべて相手の捉え方です。
「きれいだね」「可愛いね」とほめたつもりでも相手がそれを不快と受けとめれば、それはセクハラとなりえるのです。
セクハラは大きく4つに分類されます。
1つめは「確信犯」です。加害者も敢えてその行為を行い、被害者もされていると感じている状態です。この場合、放置しておいてはいけません。ただし、指摘する場合、被害者からの報告だけではなく、現場を目撃したというスタンスで行わねばなりません。
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2007.10.20
2007.11.09
株式会社パーソナルデザイン 代表取締役
「自分らしさをデザインする。」をコンセプトに、独自のパーソナルアイデンティティ分析を基に業界・業種・役職に合った「自分らしさ」をスタイリスト、ヘアデザイナー、ボイストレーナー、演出家ほか各種スペシャリストとともに演出をサポートしています。ビジネスパーソンのためのパーソナルプロデューサー、が肩書きです。