「メンタルモデル」は、自分が外部環境から仕入れる情報(要するに経験) をどのように関係付け、整理して 解釈するかという一定の処理手順や価値体系のことです。
メンタルモデルは、ひとことで言えば、思考方法のパターン、クセです。
例えば、空を見上げたり温度・湿度を肌感覚で感じて仕入れた情報から、「午後から雨が降りそう」とった判断を下す場合、そこにはなんらかのメンタルモデルが頭の中で働いているわけです。
この天気についての予感が当たるかどうかは、メンタルモデルの仕組みや精度によるわけですが。
さらに雨が降るという解釈の後に「濡れるといやだな」といったネガティブな感情が自動的に湧きあがることもあります。
これもメンタルモデルを通じて行なわれる人の情報処理といえます。メンタルモデルは当然ながら個人差があり、人によっては、「雨が降るとうれしい」という感情が湧きあがるメンタルモデルを持つ人もいますね。
人は日常の多くの行動をそれぞれが持つ特定のメンタルモデルに基づいて行なっています。なぜなら、あんまり考えなくてすむから。つまり、脳のエネルギー消費を抑えられるから。
ビジネスにおいても多くのメンタルモデルを元に、さまざまな意思決定が行われています。ビジネスモデルというのも一種のメンタルモデル。現実の事象から、典型的な成功手順や組み合わせを抽出したものであり、それは頭の中にだけ存在します。(図形化などして、表現することは可能)
さて、固定化したメンタルモデルはまさに固定観念であり先入観です。メンタルモデルが強すぎると、活用すれば有益となりうる情報を入手しても、メンタルモデルには、うまくはまらないため、無意識に無視してしまうということが起きます。
たとえば、「自社の競合は、同じカテゴリーの他社商品である」という思考も固定化したメンタルモデル。
革新的な製品はしばしば、こうしたメンタルモデルから外れたところで生まれます。つまり、革新を起こすためには、自分(自社)のメンタルモデルを客観視し、それから脱出する、あるいはいったん壊すことが必要なのです。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。