日本国内市場の成熟化、というより「縮小傾向」が明確になる一方で、外国企業はますます日本市場攻略に積極的ですね。
このような厳しい経営環境において、もはや言うまでもないことですが、日本企業の多くは、生き残りのために世界にうって出るしかない状況です。
ただ、これまで国内志向の強かった日本企業にとって、外国企業と比較した場合の大きな弱みのひとつとして、展開先の国の文化や風習などに対する理解力の低さがあります。
従来から言われてきたことですが、日本ほど民族的に均質な国はほとんどありません。(もちろん、例外はあるにせよ)一方、ほとんどの他の国は、異なる文化や風習、価値観を持つ多種多様な民族で形成されています。このため、外国企業は、文化や価値観の多様性という現実、そしてその対応に日本よりもはるかに慣れています。
しかし、均質な文化で育ってきた日本人は、まだまだ文化の多様性には不慣れなのです。
人は、毎日の生活に根ざしている、自分の国・社会の文化や風習はあまりにも当たり前すぎて、普段はほとんど意識することがありません。それが当然だと(無意識に)考えています。ですから、他の国の人々にも、自分の国の考え方や行動規範をベースに当てはめてしまうのです。
こうした自国基準の考え方による失敗は、これまで外国企業もしばしば犯してきました。しかし、彼らは過去にたくさん失敗を重ねることによって、多様性を認め、受け入れ、合わせるノウハウを随分学び、既に日本企業のかなり先を行っていると言えるわけです。
例えば、1980年代に、日本市場参入に失敗したスウェーデンの家具店、IKEA(イケア)は、2006年の再参入に当たって、日本人の住生活を十分に学び、成功を収めていますね。
日本企業でも早くから海外に進出し、現地に浸透している企業も決して少なくはありません。しかし、これからは、海外進出など考えもしなかった多くの日本企業が、文化の「多様性」に不慣れなまま、海外での展開を図らねばならないという状況です。
だからこそ、今、コミュニケーションツールとしての「英語力」(外国語力)の必要性が注目されていますが、同じくらい重要だと認識すべきなのが、展開先の国の「文化理解力」です。
実は、外国語を深く学んでいくと、
「現地の文化をより良く理解しなければ、
本当の意味でコミュニケーションできるようにはならない」
ということに早晩気付きます。
しかし、展開先でのビジネス的成功をできるだけ早く手にするためには、現地の「文化」の理解とそれに対する適切な対応を最重要課題として取り組むべきことを当初から強く認識しておくことを勧めします。
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2011.02.23
2011.03.09
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。