南仏プロヴァンス「ロクシタン」の身近でリッチなマーケティング

2011.01.23

営業・マーケティング

南仏プロヴァンス「ロクシタン」の身近でリッチなマーケティング

猪口 真
株式会社パトス 代表取締役

大手化粧品メーカーを尻目に「ロクシタン」は順調に売上げを伸ばす。製造からマーケティングまで一貫した「トゥルーストーリー」で世界に挑む。

化粧品全体では、1.4%減の2兆1503億円、フレグランス市場に絞っても前年比4.0%減の310億円(いずれも富士経済調査による)となる中で、順調に二桁成長を続けるブランドがある。

百貨店に頼らざるを得ない大手化粧品メーカーを尻目に、ロクシタン ジャポンが提供する「ロクシタン」は順調に売上げを伸ばす。売上は約6年間でなんと12倍にもなったという。

このロクシタン、今では知らない女性はいないほどだが、派手な広告展開に頼ることもなく、独自のマーケティング戦略を駆使し、オンリーワンのライフスタイル提案に成功している。

これまでの化粧品メーカーの多くは、宣伝媒体は基本的にテレビ、雑誌媒体などのマス媒体を多用し、百貨店を中心に他メーカーと似たり寄ったりの店舗を構え、百貨店に依存するゆえ独自ルートでの販売を敬遠してきた。

このロクシタンは、百貨店で条件のいい売り場を提供されなかったこともあり、独自の店舗展開を開始する。まずは店舗をショールームと位置づけ路面店や駅ビルなどに出店する。
媒体広告はほとんど行わず、店舗を中心とした頻繁な商品開発、販促プロモーションなど地道な販促展開を繰り返す。テレビショッピングやネット通販にもいち早く取り組み、これまでの化粧品メーカーでは考えられなかった独自路線をひた走る。

商品コンセプト、製造プロセスの訴求クオリティも群を抜く。
ロクシタンWebサイトによると、ロクシタンは1976年に南フランスでオリビエ・ボーサンによって設立され、全ての製品は主にプロヴァンスで採取される自然原料を使用し、伝統的手法で製造されていると言う。
さらに、20年以上も前から、伝統的な製法でシアバターを生産するブルキナファソの女性たちと、フェアトレードシステムによって利益をシェアし、製品には点字ラベルを施し、国際NGO団体ORBISの失明予防のための活動を支援している。
そうした商品、製造工程のこだわりは、すべて「トゥルーストーリー」として商品に息づき、ユーザーへの「ロクシタンと過ごすプロヴァンスのライフスタイル」提案へとつながる。

集英社と共同で2010年5月に始めたフリーマガジン「L'OCCA」にもライフスタイル提案は満載だ。ファッションやインテリアグッズなど、商品にこだわらない情報提案を行う。
特にWeb版L'OCCAは、集英社の「s-woman.net」上に開設し、ユーザーが自由に情報交換する掲示板「コミュニティ」、ユーザーが写真を投稿して構成される「ある日のL'OCCA」、店舗店長のブログ、著名人がギフトについて語る「ギフトリレー」、プロヴァンスの魅力をスタッフが伝える「プロヴァンス時間へようこそ」などさまざまなコミュニティ機能が満載で、会員数こそ1万人を超えた程度だが、ロイヤリティの高いユーザーによって積極的な投稿や意見交換がなされている。

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