あなたの会社では、お客さまが自社の製品やサービスに、どの程度満足してもらえているかを訊く「顧客満足度調査」を実施していますか?
顧客満足度調査の結果をうまく活用すれば、製品・サービスの改善を効果的に行なうことができ、顧客の定着率を高め、新規客の増加にもつなげることができますね。
ただ、従来の顧客満足度調査の項目だけでは、顧客との関係性を深めていくための施策改善には不十分なものになりつつあります。つまり、欠落しているものが現状の満足度調査にはあるということです。
従来の満足度項目は、典型的には以下のようなものです。
・この製品の品質には満足していますか?
・この製品の機能(それぞれについて)満足していますか?
・製品の使いやすさには満足していますか?
・製品の価格には満足していますか?
・店員(営業パーソン)の対応には満足していますか?
このような項目はもちろん必須なのですが、これらは、基本的に理性的な満足度、つまり、頭で考えて満足かどうかを判断してもらう項目・訊き方になってしまっているのです。
すなわち、こうした項目は、
「頭の満足度」
を訊いていると言えます。
そして、欠落しているのは、
「心の満足度」
とでも呼べる項目や訊き方です。
これは、
・この製品はあなたに癒しを与えてくれますか?
・この製品はあなたを楽しい気分にしてくれますか?
・この製品はあなたを元気にしてくれますか?
・この製品はあなたを誇らしい気持ちにしてくれますか?
といった、感情・情緒的な評価のことです。
前述した「頭の満足度」の対象は、多くの場合、機能、品質、価格など客観的に判断できる要素が中心になっています。また、「満足したかどうか」という訊き方に対する答えは、事前期待と比較しての、あるいは購入価格と比較しての相対評価になります。
しかし、癒してくれる、楽しくなる、元気にしてくれるとった製品の利用が喚起する感情は、何かと比較するするものではなく、自然に生まれてくる絶対的な評価です。
しかも、頭の満足度よりもはるかに主観的なものです。どの程度「癒し」になっているかを測定することは簡単ではありません。
現代は、製品の品質、機能、価格などについては、どの製品も大差がありませんから、そうしたものに対する「頭の満足度」の有効性、利用価値は低下しつつあるといえます。
一方、(再)購買の決定要因としての重要性が増しているのが、「感情的・情緒的評価」なのです。これは、パッケージデザインのような、感性に訴える要素や、いわゆる「ブランディング」によって形成・管理されるブランドイメージと強い関連性があります。
ですから、これからの満足度調査のあるべき姿は、
・頭の満足度
・心の満足度
の両方をバランスよく聞くことが必要になってくると言えるでしょう。
人は、理性的な評価と感情的な評価の両方で、
製品・サービスの購入・利用を決めているからです。
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2011.11.09
2015.07.10
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。