昨夜は、英語で学ぶマーケティグのセカンドシーズン、 『Philosphy of Branding』(ブランディングの哲学)の最終回でした。最終回で取り上げた哲学者は、ヘーゲル、そしてニーチェ!
ヘーゲルといえば、「正」「反」「合」の弁証法ですね。
弁証法は、ものごとの変化・発展のプロセスに一定の構造、言い換えると「法則性」があると考えるもの。ブランディングにおいても、弁証法的な考え方を適用することで、従来のブランドとは異なる価値を提示できる新たなブランドが開発できる、といった話でした。
一方ニーチェは、簡単に言えば、旧来の考え方や価値観に捉われることなく、自分の潜在性をとことん発揮し生を謳歌せよ、と説きました。そこで、ニーチェの哲学をブランド論的に解釈すれば、ブランドが、消費者に対して、新たな生き方や考え方、といった、独自の「世界観」「価値観」を提示することで競合と差別化でき、スーパーブランドにもなれるかもしれないという展開になります。
ま、かなり大胆な解釈だとは思います(笑
ただ、ニーチェの哲学のブランド論への展開がそれなりに説得力があると思うのは、ブランドとは、「同じ関心(価値観)を持つ人々の集まり」(Community of Interest)についてのことだからです。
すなわち、あるブランドを利用している人は、そのブランドが提示する世界観や価値観に共感しているから利用しているのです。ですから、同じブランドのユーザー(「愛好家」と呼べばよりわかりやすいでしょうか)は、まさに、価値観を共有する人々が集まる「コミュニティ」だと言えるのです。
こうしたコミュニティを近年は、「ブランド・コミュニティ」と呼ぶようになっていますね。もちろん、すべてのブランドが、「Community of Interest」を形成しているとは言えませんが、例えば、ハーレーダビッドソンは典型的なブランド・コミュニティですし、嗜好性の強い製品カテゴリーにおいてとりわけえ、多種多様のブランド・コミュニティが成立しているといえるでしょう。
ブランド・コミュニティは従来、ハーレーのような明示的な会員組織として
運営されているケースを除き、その存在は、それほど明確なものではありませんでした。
ところが、ネットの普及、そしてSNSの浸透によって、さまざまなカテゴリー・製品において、ブランド・コミュニティがはっきりとした姿を表してきました。しかも、ブランド・コミュニティが、ブランドに関わる企業の意思決定に大きな影響力を与えるようになってきましたね。
実際、自社製品のロゴマークでさえ、うかつにいじることが自由にできなくなっているのは、最近のスターバックスやGAPのロゴマーク変更に対する、ブランドコミュニティの人々の強い反応を見れば実感できますね。
ブランドはもはや消費者の所有物です。とはいえ、実質的には企業の所有物(管理物)でもある。
ですから、ブランドに関連した意思決定において、企業がいかにブランドコミュニティの人々とうまく連携するか、協同していけるかが、ブランディングにおける最大の課題になりつつあるのです。
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2011.01.28
2011.03.01
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。