ラーメン店に女性客が増えているようだ。その現象を取り上げた日本経済新聞は1月28日の記事で「ラーメン女子」と名付けている。「男の牙城」であったはずのラーメン店に「女子」を呼び込むのは、いかなる戦略なのだろうか。
山に釣り場にと、昨今、男の世界に進出する女性の勢いは凄まじい。1月28日付・日経経済新聞・消費面に掲載された記事のタイトルは“「ラーメン女子」増殖中”。日経の記者も男の牙城にひしひしと迫り寄る脅威を感じての表現だろうか。
<「脂っこい」「ベタベタする」といった女性に敬遠されがちなイメージを払拭>と記事にあり、<具材に野菜をたっぷり使ったり、内装を明るいイメージにしたりと店作りを工夫>と女子が進出している店舗の特徴を挙げている。そこには、我ら男がラーメンどんぶりの中のスープ、ひとすすりの麺に人生を重ね合わせるような風情は感じられない。
記事に出ているメニューは「野菜たっぷりしょうがラーメン」。<冷え性のが多い女性に訴求するため、スープにしょうがを溶かし込んだ>という。そのおかげで店の女性客比率は40%に達しているとある。
どこのチェーンかと思って記事を読み進めて驚く。<喜多方ラーメンの「坂内」など55店を運営する麺食>とある。会津盆地の風土に育まれた多加水平打ち麺を特徴とする喜多方ラーメンの坂内といえば、肉々しくもこれでもか!とばかりにてんこ盛りにされている焼き豚が特徴だ。まさに肉食獣の食べるラーメン。健康だの、栄養バランスだのとは無縁の男の世界である。(参考: http://www.mensyoku.co.jp/menu1.htm )それが「野菜たっぷり」である。なんという草食化。野菜たっぷりは、リンガーハットの「野菜たっぷりちゃんぽん」で十分ではないか。
女性狙いはラーメン店だけではない。男の大盛りガッツリ食品の一角を成す「カップ焼きそば」も女性の取り込みを図る新商品を繰り出した。エースコック「JANJAN たらこ焼そば」。
ニュースリリース( http://www.acecook.co.jp/news/pdf/1102janbj.pdf )によれば、<パスタやおにぎりのメニューで広く受け入れられている「たらこ」に注目し新商品開発を行ないました。醤油を麺に練り込み、ソースは醤油をベースにチキンや魚介の旨みを効かせたあっさりしながらもコクのある仕上がりになり、後がけのたらマヨふりかけが絶妙にマッチする味わいです>とある。
カップ焼きそばといえば、添付のソースをかけ、申し訳程度に入っている具材のキャベツを大事にしながら大ボリュームの麺に挑む食べ物だ。これまた男の世界。それが、「タラコ」だ。リリースにあるとおり、「タラコはスパゲッティーだろう」と突っ込みたくなる。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。