性格(パーソナリティ)は、心理学では4つの要素で構成されていると考えられています。(タイトルの「性格」は、以下の4要素を含む広義の「性格」のことです)
・体質・気質
・性格(狭義)
・習慣・態度
・役割的性格
1.体質・気質
一番中心部にあるのが「体質・気質」です。
生まれつきの性格ですね。ある研究によれば、細胞レベルの反応から、外交的(先進的)な人、内向的(保守的)な人と、大きく2タイプに分かれることがわかっています。
2.性格(狭義)
体質・気質の外側にあるのが、「性格」です。
これは、主に幼少期の生育環境で形成されるもの。「三つ子の魂百まで」と呼ばれるような、ほとんど変化しない基本的な心理・行動パターンが、狭義の「性格」です。
3.習慣・態度
性格の外側にあるのが「習慣・態度」です。
日々の生活での様々な経験、学校などでの学習などを通じて形成される、心理・行動のクセや価値観のことです。習慣・態度は、大人になってからも形成、変化しつづけます。
ただ、さまざまな習慣・態度のうち、本人の人間性を表す「信念」ともなっている価値観は、そう簡単には変わりません。それでも、いわゆる、「人生観が変わるような」大きな経験でひっくりかえることがあります。「仕事第一」と考えていた人が、赤ちゃんが生まれた瞬間、「家庭第一」になってしまうといったことです。
4.役割的性格
いちばん外側にあるのが「役割的性格」。
社会の一員として私たちは複数の役割を同時並行的に持っています。子として、親として、配偶者として、部下として、上司として、友人として、などなど。そして、それぞれの役割にふさわしい態度や行動があります。どんな態度や行動がふさわしいかは、社会的規範や暗黙のルール、究極的には法律や憲法によってある一定のガイドラインが示されています。
ですから、役割的性格を意識することで、本来の体質・気質、性格や、習慣・態度とは全く異なる行動を取ることがあるわけです。生まれつき、また狭義の性格的には内気でネクラなのに、舞台に上がると別人のように明るく振舞える芸人を想像してみてください。
あるいは、本当は「オレがやった」と思っているけれど、ヒーローインタビューでは、「みんなのおかげです」と感謝の言葉を口にするスポーツ選手もまた、役割的性格を発揮できているといえます。
ですから、人の性格(パーソナリティ)を考える場合、単純に「体質・気質」や、狭義の「性格」だけでなく、ゆっくりと変化し、しばしば急激にひっくり返ることもある「習慣・態度」、そして、「役割的性格」まで考慮する必要があります。
余談ですが、サッカーの本田圭佑選手の我の強い性格はおそらく一生変わりませんが、これまでの多様な経験・学習を通じて彼の価値観も少しずつ変化してきたこと、そしてまた「役割的性格」を最近は意識することができるようになったようですね。
ちなみに、「役割的性格」を意識して行動できるようになった人のことを私たちは「大人になった」と言うのです。
★日経ビジネスオンライン記事
「サッカー日本代表・本田選手は変わったのか」
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。