『キュレーションの時代』(佐々木俊尚著)は、読み応えのある名著ですね。マーケターは必読の本だと思います。
さて、この本に書かれていることのうち、とりわけマーケティング心理学の「視座」から注目したいのが、「つながり」と「情報」の大統合がされつつあるという点です。
同書において、佐々木氏は、インターネットには、
・情報を流すこと
・人と人がつながること
の両面があると、以前から言われてきたことと指摘しています。
そして、主に検索エンジンが、「情報を流すこと」を可能にする機能を提供してきました。一方、あまり内容のないやりとりが行なわれている、多くの携帯系サービス等は、「人と人のつながり」を可能にする機能とを提供してきました。ただ、これまでは、この2つの機能を提供するサービスはばらばらに発展してきたのです。
*なお、ここで留意していただきたいのは、「つながる機能」では、交換される情報の意味、価値はあまり重要ではないこと。というか、むしろ、人とのつながりを作ること、強化すること、確認することが目的なので、情報の意味はあまりないほうがいいくらいです。
しかし、現在は、ソーシャルメディアの進化によって、人と人がつながり、そこで意味のある重要な情報もやりとりされるようになってきた。佐々木氏の言う「つながり」と「情報」の大統合です。
これは、要するに、「情報」と、その情報の出し手である「人」がつねにワンセットで扱われるということなんですが、重要なのは、第一に重視されるのは情報ではなく、「人」のほうだということ。
具体的には、以下のような点がまず考慮されるのです。
・その人がどんな視座(私は、視座とは「情報取捨選択における「価値基準や好み」と解釈しています)を持っているのか
・そもそもその人は信頼できるのか
すなわち、情報の取捨選択の前に、人の取捨選択が行なわれるということ。
人を「企業」と置き換えても同じです。企業が社内外に向けて何らかのメッセージを発信する場合には、まずそれ以前に、企業の視座を示しておかなければならない、ということになるのです。
企業の視座とは、
・ビジョン(目指す将来像)
・ミッション(使命)
・バリュー(価値観)
であることはおわかりになりますね!
キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる』
(佐々木俊尚著、ちくま新書)
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2011.04.27
2011.08.19
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。