業績低迷にあえぐカジュアルウェア大手、ジーンズメイトが大きな曲がり角を迎えている。その背景と狙いを読み解いてみよう。
ジーンズメイトは1988年に第1号店が開業し、平成10年98年に24時間営業を開始して話題を呼び、99年に、2001年に1部上場を果たした。しかし、ユニクロを運営するファーストリテイリングが98年に2部上場、99年に初の都市型店である原宿店を出店して以来勢いを増して追撃したこともあり、近年業績低迷にあえいでいる。前期の決算数字も売上高:168億円、純利益:-13億円、営業キャッシュフロー:-12億円とそれを反映している。
ユニクロの業態としての特徴はSPA(speciality store retailer of private label apparel:企画製造小売業)にある。「価格以上の品質」を実現する力の源泉だ。昨今人気の外資系ファストファッション勢の多くもSPA方式であるが、力の源泉は「品質」以上に注力している「ファッション性」である。例えばZARAは自社に200名以上のデザイナーを抱えて最新の市場のファッショントレンドを超短期間でキャッチアップし、商品を製造して店頭に並べる。では、ジーンズメイトの魅力と力の源泉とは何か。
ジーンズメイトはまさに「背水の陣」を張った。
3月18日付・日経MJ記事に「ジーンズメイト 今期出店、新業態店のみ 格安衣料や雑貨 SCなど施設内に」とある。112店舗、東京世田谷区に始まり西は山口・福岡まで広げた版図、単独路面店の出店を凍結したのである。
新業態店の1つが「ワケあり本舗」。記事には「89円の靴下など格安品を展開する」とあるが、いわゆる「アウトレット店」だ。もう1つの展開が「ハッピードア」。記事の写真には「格安衣料のワケあり本舗(手前)に化粧品や雑貨を扱うハッピードアを組み合わせた新店(東京都町田市)」という説明が添えられている。「ハッピードア」は昨年、映画配給やレジャー施設運営の東京テアトルから3店舗を事業譲渡された。同社西脇社長のコメントが記事に掲載されている。「ジーンズメイトでは出店できなかった施設内に新業態で進出を狙う」とある。行間を読めば、ジーンズメイト単体では収益が低いためSC(ショッピングセンター)などの施設に入居することができず、単独路面店の出店に終始していたとも考えられる。
2010年5月21日付の日経MJに「ジーンズ専門店背水の陣―ジーンズメイト、「非衣料」で女性客開拓」という記事がある。「ハッピードアの協力を受け、ららぽーとの新店にはキャラクター雑貨などを導入。6月末までに他のジーンズメイト15店に同様に雑貨を取り入れるほか、女性用化粧品などに品ぞろえを広げる」とあるが、今後、その動きを加速するのである。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。