新メニュー&「曜日別販促」に見る「ロッテリアらしさ」とは?

2011.03.29

営業・マーケティング

新メニュー&「曜日別販促」に見る「ロッテリアらしさ」とは?

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 3月28日付・日経MJ記事に「新商品、曜日別販促 ロッテリア 火曜日は値引き 金曜日はチキン無料」という小さな記事が掲載された。企業提供の商品写真こそ添えられているが、わずか36行のベタ記事だ。しかし、この商品と販促は非常に「ロッテリアらしさ」を体現しているといえるだろう。

 ハンバーガー業界の「リーダー」といえば、いわずと知れた日本マクドナルドだ。調達~販売までのバリューチェーンを強固に組み上げ、約3300という店舗数による圧倒的な規模の経済と経験効果を効かせ、ハンバーガーの みならずファストフード業界を席巻している。
 そんな相手に正面から戦いを仕掛けるのは馬鹿のやること。リーダーに挑む「チャレンジャー」の戦略は、リーダーが規模を保つために「全方位戦略」をとるなら、「差別化戦略」に徹することである。ハンバーガー業界第2位、店舗数約1400のモスバーガーの戦い方を見ていれば、テレビ番組とコラボレーションしたりと、流行りの食材を用いたりと番組や味に対する嗜好が「全方位」に向かないためリーダーがやらない、できないことを徹底して行っている。

 リーダーにもチャレンジャーにもなれないとすれば、どうなるのか。
 「フォロアー」「ニッチャー」というポジションがある。フォロアーは、リーダーに市場を作らせて、ちゃっかりそこで生き抜く。目立つことはせず、積極的なコミュニケーション投資を抑える。そして、価格をリーダーより一段安くする。ニッチャーはリーダーが入り込まない独自の生存領域を確保し、そこで生き抜く。その領域をむやみに拡大し、リーダーに狙われて奪われるようなことを避け、局地戦に徹する。
 フォロアーとニッチャーの特徴を併せ持つのが、ハンバーガー業界第3位、店舗数約500のロッテリアだといえるだろう。ロッテリアもかつてはマクドナルドのチャレンジャーだった。1987年、マクドナルドがハンバーガーとポテト、ドリンクをセットにすると390円という「サンキューセット」を展開。それに380円の「サンパチトリオ」で挑んだが、翌年、さらにそれを下回る360円という価格の「サブロクセット」でマクドナルドに反撃されあえなく敗退した苦い経験を持つ。その後、商品戦略上の失敗や経営上の問題があり、ロッテリアは企業再生会社リヴァンプと資本提携~終結を経て今日に至っている。

 ロッテリアの看板メニューの1つは「エビバーガー」だ。小エビのプリプリ感が売り物の揚げたパティは、今でこそ類似メニューを他企業も展開するが1977年にロッテリアが開発したとされている(Wikipediaより)。そのオリジナルの「エビバーガー」は単品で290円。セットで620円であるが、4月1日から発売される「チーズタルタルエビバーガー」はその豪華版といえるだろう。エビバーガーをカマンベールやチェダーチーズで作ったチーズタルタルソースで味付けしているという。お値段は単品350円、セットで680円だ。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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