自動車の国内市場が年々縮小していく中、海外市場の開拓にしか活路を見いだせなかった車業界に、新たな販売戦略が出てきている。
環境・エネルギー問題へのエースとして登場したEV車だが、これまでになかったマーケティングアプローチが生まれている。
ひとつめは、トヨタ自動車が行なったセールスフォース・ドットコムとの提携によるSNSサービスの発表だ。セールスフォース・ドットコムのプレスリリースによると、
「トヨタフレンド」は、人とクルマ、販売店、メーカーを繋ぐソーシャルネットワークサービス で、カーライフに必要な様々な商品・サービス情報などをお客様に提供。例えば、EV及びPHVの 電池残量が少ない場合、充電を促す情報をあたかもクルマの「つぶやき」としてお客様に発信する。 さらに、「トヨタフレンド」はお客様が指定するプライベートなソーシャルネットワークであり ながら、TwitterやFacebook等の外部のソーシャルネットワークサービスとも連携し、家族や友人 とのコミュニケーションツールとしても利用できる。これらの情報はスマートフォンやタブレット PCなど、最新の携帯端末を通して提供される」と、結局のところ、こむずかしい表現での発表となっているものの、若者にクルマが売れない実態を憂う私としては、願望を持って、この取り組みに期待したい。
私見だが、クルマが売れなくなった原因のひとつに、クルマの徹底的なコンピュータ化があると感じていた。
かつてクルマといえば、若いおにいさんたちが、ひまさえあればボンネットを開けたり、タイヤやホイールを交換したり、思い思いにいじって、「ジブンのクルマ」として楽しんでいた。
今、Macを自分なりにカスタマイズしながら使い勝手を楽しむかのように、だ。
トヨタがアメリカで大騒動になったとき、ブレーキがコンピュータ制御で作動することに驚いた人は多いだろうし、クルマが自分たちの手の届かないところにいってしまったと感じる人は少なくないはず。かなりのクルマ好きでも、自分でクルマのメンテナンスがきちんと出来る人は少ない。
今、クルマの状態をきちんと把握するのは一般人には難易度が高すぎて、いちいちカーディーラーや整備工場に持っていかなければならず、安全性の問題は置いといたとしても、PC並みに個人ユーザーの責任でいろいろな設定やカスタマイズができ、かつてのメカいじりの延長でクルマに接することができればクルマへの親近感はさらに湧くのではないか。
クルマのことが分かり、自分だけの感覚を持つことは、クルマへの愛着を増すための大きな要素だと思う。
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