モスの低価格カフェ「MOSCO」は何を狙っているのか?

2011.07.22

営業・マーケティング

モスの低価格カフェ「MOSCO」は何を狙っているのか?

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 モスバーガーが新たにセルフコーヒーショップの「MOSCO」をオープンするという。その勝算はどの程度あるのだろうか。

 モスがセルフスタイルのコーヒーショップ「MOSCO」を板橋にオープン!(2011年7月21日(木)15時13分配信 東京ウォーカー)
http://t.co/mOgBMuX

 「MOSCO」は「モスのコーヒーショップ」を表しているというが、上記記事によれば、<1号店となる店舗は「低投資」「新立地」「スピード提供」を開発コンセプト>としているという。
 コーヒーショップの「商品(Product)」は、飲み物とフードと、そこで過ごす店舗空間であるが、メニュー構成は大規模な店舗設備を不要とするため「コーヒー」とオリジナルの「白いトマトジュース」(←ちょっと謎。話題性喚起のキモか?)を中心に、「ホットドッグなどの軽食メニュー」とシンプルメニュー構成に徹している。店舗は面積約9坪と小規模ながら、快適性を高めるため全席禁煙であるという。
その商品を提供する「価格(Price)」は、200円台を中心とした低価格に設定している。
 さらに、「立地(Place)」は、<エキナカ、空港、書店併設など、新たな立地に出店を積極的に進め、2012年度までに5店舗の出店を目指す>と記事にある。

 カフェ人気であるが、世の中のカフェの1種類は高~中単価である「シアトル系」で、完全禁煙の「スタバ」、分煙(完全分煙と不完全分煙は店舗によって異なる)「タリーズ」など。もう1種類が、低価格・分煙(完全分煙と不完全分煙は店舗によって異なる)の「ドトール」「ベローチェ」などだ。そうしてみてみると、「低価格で完全禁煙」というポジションがホワイトスペースであることがわかる。「ちょっと小休止する程度だからあまりお金はかけたくないけど、タバコはイヤ!」というニーズギャップに応えているカフェは意外と少ないことがわかる。それを、モスフードサービスはフランチャイズの投資負担を小さくして、スピーディーに展開していこうという狙いなのだろう。

 モスのカフェといえば、銀座7丁目に展開している「モスカフェ」があるが、(※モスカフェに関するBlog過去記事→ http://tinyurl.com/3c42y7s )上記は定番メニューに絞り込んでいるとはいえ、バーガーなど通常店のメニューも置いている。また、全くの別ターゲットを狙っているかというと、そうではなく、ターゲット層を通常客に加えてカフェ&スイーツ愛好客に拡大したのではないかと考えられる。

 一方、今回のMOSCOはフードはホットドッグなどで基本のバーガーも置かない。また、ポジショニングを端的に表しているコンセプトが記事にあるように、「“元気充電コーヒーショップ”」であるように、ターゲットはエキナカ、空港、書店併設などの好立地=通りがかりに、短時間の休息=充電をしたい人に設定されている。つまり、ファストフードではなく、比較的ゆっくり食事をしたいという、従来のモスの顧客とはかなり異なる。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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