古来、星は人びとに多くのインスピレーションを与えてきた。「星」が出てくる名言を3つ紹介しよう。
全国的に節電の夏。夜の繁華街のネオンや帰宅途中にあるコンビニの店内照明がいくらか控えめとなり、ふと気づくと、月明かりが自分の歩く影を地面に落としている。「月がこんなに明るいなんて」とはどれくらいぶりに思ったことだろう。
この広大な宇宙は、あるちっぽけな惑星の局所で起こった振動のことなど何も気にかける様子もなく、その運動をただただ続けるのみである。一方、そのちっぽけな惑星の表面に這いつくばう人間は、そうした自然・宇宙が見せる姿や営みに法則を見出し、意味を与えながら強く生きてきた。今年の夏は、夜空の星々を見上げながら何か思索をしてみるのにちょうどよい機会ではないだろうか。星は人びとに多くのインスピレーションを与えてきた。きょうは「星」が出てくる名言をいくつか紹介しよう。
「十分暗くなれば、人は星をみる」。
“When it is dark enough, men see the stars.”
―――Ralph Waldo Emerson
この言葉はサラリーマン時代から何となく書き留めていたのだが、リスクを負わず安定した会社員生活をやっているときにはあまりぴんとこなかった。そして独立して8年間が経ち、折々にこの言葉の奥深さが感じられるようになった。
大企業のご威光と資金力のもと、白昼の明るさの中で豪勢に仕事をやっていたのとは一転、独立すると辺りはすーっと暗く恐ろしく静かになる。大企業の名刺でつながっていた人たちは音沙汰がなくなり、不安定やら、不透明やら、不遇やら、不発やら、不調やら、不信やら、不得やら、不具やら、が身の周りを覆い、独り丸裸で野宿をするような環境になる。まずは衣服になるものを探さなきゃ、火を起こさなきゃ、食うものを手当てしなきゃ、雨風をしのぐ小屋をつくらなきゃ、と日々の仕事に没頭する。そんなときに空を見上げると星がぽつりぽつり薄く輝いているのが見える。
個人として独立して何の信用も実績もない状態になるとかえって本当の友人、本当の協力者、本当の共感者が見えてくる。暗いなかでこそ、人はものがよく見えるし、よく見ようとする。そして見えてきたものの美しさやありがたさがよくわかる。私の場合、独立したことで周辺が十分に暗くなり、ほんとうによかったと思っている。サラリーマンを続けていたら、それなりに苦労をし、多少の星を見たかもしれないが、おそらく今ほどの星々は見ていなかっただろう。
次のページ「目を星に向け、足を地につけよ」。
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2009.10.27
2008.09.26
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。