組織体制と求められる人材像

2011.10.03

経営・マネジメント

組織体制と求められる人材像

野町 直弘
調達購買コンサルタント

最近調達・購買部門について考える機会が多くあります。 また部門の力を強化するためにどのような組織体制にしていけばよいか、ということを色々なお客様より聞かれることもあります。 今回はそのヒントと言ったら大げさですが、調達・購買部門の組織体制つくりでのポイントを整理したいと思います。

最近調達・購買部門について考える機会が多くあります。
また部門の力を強化するためにどのような組織体制にしていけばよいか、ということを色々なお客様より聞かれることもあります。

今回はそのヒントと言ったら大げさですが、調達・購買部門の組織体制つくりでのポイントを整理したいと思います。

調達・購買部門は企業内の他部門とは異なり、多面的な切り口があります。
他部署との違いがあるとすればこの点でしょう。

多面的な切り口とは①機能軸②品目軸③事業軸です。
これらの切り口を組合わせて各社が最適な組織体制を作ることが肝要です。

①機能軸の主要なものは「戦略企画業務」「契約業務」と「購買実行業務」です。
我々の過去の経験から言いますと、「契約業務」の専任化は非常に重要な視点です。但し、企業によっては日々の在庫管理、発注業務などを専任化せずに一人の方が品目別に担当していることも多くあります。それはその方がメリットがあるからです。
このようにどちらの方法が良いかについては企業毎の業務の仕組みによって異なってきますので一概には言えません。

②品目軸は分かりやすい切り口です。
殆どの企業は品目毎のバイヤー制を採用しています。
企業によっては品目ではなく業種軸と言っている場合もあります。
このケースではサプライヤとのコンタクトはほぼ一本化され、サプライヤマネジメントの強化という点ではメリットがありますが、新製品原価企画や開発購買等の活動で社内ユーザーとの関係性はやや作り難くなります。

③事業軸は別の視点ですと製品軸とも言えるでしょう。
プロダクトマネジャー制を取っている企業に対しては、製品担当、事業担当毎の調達・購買組織の方がユーザーマネジメントの視点ではメリットがあります。しかし、一方でサプライヤコンタクトは多様化してしまいますので、サプライヤマネジメント面ではやや課題が残ります。

当然のことながらこれらの3つの軸のどれかだけを採用するというやり方も3つの軸の組合せをすることも可能です。例えば、数年前から多くの企業で採用されている開発購買グループのようなチームは③事業軸で社内ユーザーに対して付加価値を提供する仕組みを別の人間でやらせようとする流れです。また品目チームは②品目軸をクロスファンクションで実現するものであり、どちらかというと立上げて間もない間接材購買の体制として適用されます。

このように三軸ともにメリットデメリットがありますので、この3つの軸を考慮し、企業毎に最適な組織設計作りをする必要があります。

ただいずれの軸に関しても組織設計以上に大切なことがあります。
それは「業務範囲を進んで超える文化」であり、人作りです。
組織を作るということは役割分担を決めることです。ただ三遊間のゴロは必ず出てきます。三遊間のゴロを「私の仕事ではない」と拾わなければどうなるでしょう。組織を作ることがそのような状況を作ってしまったとしたら問題です。
「三遊間のゴロを進んで拾う」そういう人が多く育成されるような「業務範囲を進んで超える文化」がいずれの組織体制においても重要なことは言うまでもありません。

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野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

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