流行を見極めるのは難しい。かといって、やみくもに動いてもヒットは生まれない。今回は、逆張り的トレンド予想について考えてみよう。
男性なら子ども時代、多くの人がお世話になったであろう白いブリーフ。だが、オトナになって履くと「オヤジっぽい」「女性にモテない」とネガティブなイメージがついて回り敬遠される存在となる。ところが、昨今復権の兆しがあるという。
<節電の影響もあり男性用白いブリーフの需要が徐々に増加中>(週刊ポスト2011年9月16・23日号)
http://www.news-postseven.com/archives/20110910_30384.html
上記記事では「見た目の涼やかさ」や「薄い色のパンツでも透けない」など、夏季限定要素がクローズアップされているが、販売現場には節電によるフロックではないデータがある。「ファッションセンターしまむら」の肌着売り場で、前年比10%増のペースで売れ続ける隠れたヒット商品になっているというのだ。(日経MJ2011年10月7日)。理由は同社担当者によれば、「業界が合成繊維一辺倒になった余波」だと指摘している。同記事のタイトルは「ヒートテック全盛時代に・・・あえて綿肌着を売る/中高年は肌触り重視“置き去り市場開拓”」とある。
ユニクロを傘下に持つファーストリテイリングは猛暑の続く8月25日に、2011年秋冬シーズンのヒートテックの販売目標を発表した。前シーズンの8000万枚から25%増とし、何と1億枚の大台に乗せるというのだ。目標をクリアするため商品の魅力もさらに高めた。男性用には消臭、女性用には保湿と軽量化の新機能を加えたのである。ヒートテックを追撃せんと、大手流通もこぞって機能性肌着を展開する。そんな中、記事では京王百貨店のヒット商品「天使の綿シフォン」を取り上げている。07年から扱う綿100%のカットソーで、1商品で30枚売れればヒットという相場の中、今年9月に200枚が売れたという。ヒートテックとは桁がいくつも違うが、口コミで人気が拡大し、いまでは衣料業界関係者が視察をかねて買いに来るほどだとある。
ヒットしているのは中高年ターゲットの“置き去り市場開拓”だけではない。10月5日付日経新聞・消費面のコラム「消費の現場」のタイトルは「ピンヒールで美脚に磨き」だった。記事は京都市内の専門ビルオーパ2に登場した、ピンヒール専門売店「ミラーダロイヤル」を取り上げている。厚底のウェッジソールなどは扱わない。かかとの細いピンヒールが女性の心をくすぐるのだという。同店の担当者がコメントしている。「東日本大震災後は歩きやすいそこの平らな靴が人気だったが、夏頃からは対極ともいえるピンヒールが売れ始めた」といい、都内の百貨店でも同じ傾向にあるため東京での出店も検討中であるという。
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。