今日は、ステマについて……ではなく、マーケティングの倫理とあるべき姿について。最近よく言われている「ステマ」とは? 何が問題なのか、どうするのがいいのでしょうか?
結論としては、「口コミでも紹介でも、その情報に関して金銭や商品をはじめとする便宜の提供がステークホルダーからあるのならば、それを明記する」べきです。その条件に外れるものはすべてステルスマーケティングであり、それを忌避するのが、まっとうな広告主の姿だと考えます。
また、世の中でそうした認識が一般的になるように、日本でも法律で定めるべきだと考えています。
ステマ=ステルスマーケティング
まず、「ステマ」というのは、何を意味しているのでしょうか?
これは、「ステルスマーケティング」のこと。「ステルス」とは隠したり偽装したり密かに行ったりという意味ですから、ほとんどの場合「ステルスマーケティング」は「宣伝だとわからない形で行われる宣伝」を意味すると考えていいでしょう。
「ステマ」という言葉がよく使われるようになってきたのは、飲食店クチコミサイトに宣伝的なクチコミ投稿を行う業者のことがマスメディアなどで取り上げられたり、メーカーが2ちゃんねるまとめブログを使ってやらせ記事を書いているなどの騒ぎが出たりしたあたりからという印象があります。
しかし、いわゆる「サクラ」「やらせ」はインターネット以前の大昔からありますし、「ステルスマーケティング」という言葉自体も実は昔からありました。ブログが一般層に周知されるようになってきた2004年ごろにはすでに、自然発生のクチコミ「オーガニックWOM」に対して企業がコントロールするクチコミ誘発・増幅のマーケティング手法が「ステルスマーケティング」として問題視されるようになっていたのです。
法律でステマは取り締まれないのか?
日本ではこうした「広告じゃない皮をかぶった広告行為」に関して、どういう法律になっているのでしょうか。
消費者庁は2011年10月に「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」を公表しています。
・「無料」で釣るのもクーポン系の二重価格も違法、当然でしょ。
消費者庁が景表法上の問題を例示
→ http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2011/11/01/11476
しかし、これはあくまでも「インターネット消費者取引に係る表示について事業者が守るべき事項」として現在法律違反になる可能性になるケースを具体的に提示したもの。そこで示されているのは主に、どういった表現が既存の景表法の優良誤認などの不当表示にあたるかといったことや、口コミでも事業主が関係して行えば広告扱いされるといったことで、「ステマがダメ」とは書かれてはいないのです。
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2015.07.10
2015.07.24
安田 英久
株式会社インプレスビジネスメディア Web担当者Forum編集長
企業のウェブサイト活用やウェブマーケティングに関するメディア「Web担当者Forum」(http://web-tan.forum.impressrd.jp/)を運営しています。