アジアを一つとしてみる タイの大学訪問記 その1

2012.02.24

経営・マネジメント

アジアを一つとしてみる タイの大学訪問記 その1

林 衛
株式会社アイ・ティ・イノベーション 代表取締役

社会人IT技術者教育で協業しているアイ・ティ・イノベーションと大連東軟信息学院はタイの大学を訪問した。アジアでの社会人から大学生までの教育という幅広い連携を模索した。もはやアジアは日本の下流ではない。

2月20日の日経新聞の第一面のトップ記事は、「秋入学、変革のうねリ」と題して、東京大学が、グローバル化に向けて、海外の大学制度に対応して秋入学を制度化するというものであった。秋入学は、好ましいことだと私は、思う。日本の大学も重い腰を持ち上げ、ようやく、国際化にむけて始動するようだ。中国をはじめアジアの優秀な学生を迎え入れたり、日本の学生がアジアを一つにして相互に発展する環境を早く整えなければならない。基礎研究、文化的な分野でしっかりした基盤を持つ日本の大学が世界の中で特徴を出し、世界に貢献するためには、必要な改革である。日本の組織は、いったん決断できれば成果が期待できると思う。

 さて、これから、タイの大学の話を始めよう。ある意味で、ユニークな視察団の一行が、タイの大学を訪問した話である。2012年2月12日から18日までの一週間、私は、タイの大学、4校を視察した。弊社の提携先である中国大連の東軟学院の国際学部長、IT学部の教授、日本部の部長、スタッフの4名に加えて、日本からは、私一人だけで合計5名である。一週間、中国人の中で行動する。まさに、この訪問プロジェクト自体が、クロスカルチャである。訪問先での公式なミーティングの場は、殆ど英語であるが、会食の場では、中国語、英語、タイ語、日本語が飛び出す。公式、非公式の場、訪問先との会合、会食、史跡訪問など、現地の人と本音で会話できたと思う。

 今回の訪問の目的は、東南アジアで最も経済力のあるタイ国内の様々な大学と中国の大学との交換留学プログラムを紹介し、提携すると共に、社会人教育(大卒後の社会人向けグローバル教育)に対する興味とニーズを探るというものだ。

 タイは、中国南部の雲南省から比較的近い。タイ人の起源は、中国の四川省付近から漢民族の勢力拡大に伴って、何百年もかけてアジア南部に移った。この間にタイを取り巻くミャンマーやラオス、カンボジア、ベトナムなどの諸国にまたがる地域で、様々な国が生まれ、滅びたのちに現在のタイの姿になっている。我が国とは、山田長政の時代から友好関係が続いており、日本、中国の両国ともに国際的に親交が深い。
今回の訪問での私の立場は、東軟学院の提携先を探す視察団の一角として、社会人教育を実施している重要パートナーの立場で参加した。日本人ただ一人である。興味深いことは、タイは、80年代からアジアの優等生として、日本とも経済的関係を保ちながら急成長した。そのタイにある4つの大学が、提携先としてやってきた中国のIT分野とグローバル教育で有力な新興の中国の大学に対して、どのように興味を持ってくれるのか。また、タイ側から見た東軟学院の重要パートナーである日本のコンサルティング企業が、どのように評価されるのか。さまざまな訪問先の反応を楽しみにしていた。また、タイの大学のグローバル上の関心事や教育のレベル、大学生の関心事や勉強に対する姿勢についても知りたいと思っていた。これらについては、別途詳しく述べる。

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林 衛

株式会社アイ・ティ・イノベーション 代表取締役

PMの達人として著名。近年はビジネスアナリシスあるいは「人間力」をキーワードにIT業界の変革に取組んでいる。

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