企業戦略と調達・購買戦略は同期して語られることはあまり多くありません。 多くの企業で経営者から見ると調達・購買部門は便利なコスト削減請負人程度の位置づけなのかもしれません。しかし、調達・購買の機能そのものや戦略は企業戦略や経営者の期待、時代背景等によって、もっとダイナミックに変化する(させる)べきものです。
企業戦略と調達・購買戦略(その1)の続き
http://www.insightnow.jp/article/7016
企業戦略と調達・購買戦略は同期して語られることはあまり多くありません。
多くの企業で経営者から見ると調達・購買部門は便利なコスト削減請負人程度の位置づけなのかもしれません。しかし、調達・購買の機能そのものや戦略は企業戦略や経営者の期待、時代背景等によって、もっとダイナミックに変化する(させる)べきものです。
一部の企業では調達・購買戦略がより重要な機能戦略として位置づけられてきています。今回は日本企業のコマツを事例として取り上げます。
最近アジルアソシエイツのコンサルティングで比較的多くの企業から依頼をうけるのがサプライヤマネジメントをテーマとしたものです。
リーマンショック以降多くの企業がコスト削減の更なる実施に力を入れていましたが、やはり従来型のコスト削減手法には限界が来ていることがその一因と言えるでしょう。
コスト削減手法は「安くする」「安いものを買う」「安いところから買う」+「無駄な買いものをしない」の4つの手法に分けられます。
いつのころからでしょうか?この4つの手法の中で「安いところから買う」という手法が爆発的に普及しました。A社、B社2社から見積りを入手し比較し安いところから買う、切替えはしないが新規のサプライヤから”あて馬見積”を入手し、既存サプライヤに指値をしてコストを下げる、こういうやり方が一般化してきました。入札やリバースオークションなどの競下げ入札などもその一種と言えるでしょう。何故でしょうか?
考えてみたらあたり前です。「誰でもできるから」です。
(当然のことながら、これらの「安いところから買う」手法についても頭を使わないとできない手法はあり、より戦略的な取組みが「戦略ソーシング」という手法であると理解していただいて結構です。)
素人が頭を使うことなく、一番最初にできること、これが相見積りなり入札なりの「安いところから買う」ということなのです。
一方で過度な競い合いはサプライヤにとってもバイヤーにとっても長続きしないことに多くの企業は気づき始めました。
コストは下がっていないのに価格を下げれば収益は悪化します。単に比較することで安価を求める手法はある意味消耗戦であり、限界があるのです。
そこに来て近年日本企業はますます事業活動の基盤(開発・設計・生産・販売)を海外に移転し始めています。今までのようなサプライベースを全て持続しながら、継続的な競争力強化ができるはずがありません。
そのため多くの企業がサプライヤマネジメントの改革を行うことでより競争力を
強化していきたい、というのが実態なのでしょう。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。