新社会人に贈る2012~キャリアは航海である

画像: N.Muray

2012.03.26

組織・人材

新社会人に贈る2012~キャリアは航海である

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

航海に大事なものは「船・羅針盤・目的地入り地図」。新入社員にかぎらず、改めてキャリアという大海原をいくことについて考える。船=自立、羅針盤=自律、目的地入り地図=自導。はたしてあなたはこの3要素が揃っているだろうか?

 2012年春、社会人になって職業に就かれるみなさん、おめでとうございます。その門出にこの記事を贈ります。

 私たちは一人一人、何かの職業を選び、1年、5年、10年、20年とかけて、職業人生を歩んでいきます。その間、どんな種類の仕事をしたか、どんな経験を重ねたか、どんな役割を果たしたか、どんな成果を残したか、これら全部をひっくるめて「キャリア」と呼びます。キャリアとは簡単に言えば「仕事を通しての生き様」「職業を通じて織っていく人生模様」です。それは、みなさんお一人お一人のオリジナルなもので、尊いものです。

 キャリアは航海に喩えることができます。航海に大事なものを考えることによって、この先、自分らしくキャリアを歩んでいくために何が必要か、が見えてきます。
 さて、航海に大事なものは何でしょうか? 私は次の3つを挙げます───「船・羅針盤(コンパス)・目的地入り地図」。その3つをキャリアに当てはめるとこういうことです。

  1)知識・能力を存分につけて自分を性能のいい「船」にする
    =「自立」的になる

  2)どんな状況でも、自らのぶれない判断を下せる羅針盤を持つ
    =「自律」的になる

  3)地図を持ち、職業人として目指すべき「目的地」を描くこと
    =「自導」的になる

では、それぞれについて詳しくみていきましょう。

◆「船を造れ」~まずはきちんと能力・経済力・体力をつける
 まず、航海になくてはならないものは何といっても「船」です。みなさんはこれから大海原に出ようとするときに、手漕ぎのゴムボートがいいですか、それとも馬力の強いエンジンを積んだタンカーがいいですか?───答えはいわずもがなですね。性能がよく、頑丈にできている船がいいに決まっています。
 キャリアにおいて船は誰かが用意してくれるものではありません。船はあなた自身です。これから長く続くキャリアの旅路を渡っていくためにまず大事なことは、自分という船の性能を高め、強いハードウエアを持つことです。すなわち、仕事に関わる知識や技能を積極的に身につけること、ライフステージに従って生活をきちんと維持発展させていくための経済力を保つこと、そして健康管理に気を配るということです。

 知識や技能には、ビジネスマナーやパソコンスキル、語学のように基盤的なものもあれば、職種や業界に特有の専門化したものもあります。また、マネジメント関連やリーダーシップ関連のように横断的で高度なものもあります。さらに、自分という船を特徴づけるためには、行動特性(コンピテンシー)を強めていくことも大切です。例えば、思考の柔軟性がある、交渉力に長けている、チームビルディングがうまい、ストレスマネジメントができる、などです。
 こうして一職業人として、他に依存することなく、能力的にも経済的にも独り立ちすることを「自立」と言います。まずは自分という船体をしっかり造る=自立することが、入社後、数年間の第一のテーマです。

次のページ◆「羅針盤を持て」~自らの律で物事を評価・判断する

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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