販売や交渉などにおいて、こちらの要求(商品を購入してほしい、当方の条件を認めてほしい等)を相手に‘心地よく’受け入れてもらいたいなら、言い換えると、上手に説得したいなら、ぜひとも覚えておくべき点がひとつあります。
それは、相手の「コントロール感」を奪ってはいけないということです。
コントロール感とは、端的には、
「自分の判断でものごとを決めたい」
という欲求のこと。人は誰しも、多かれ少なかれこの「コントロール感」
を持っています。したがって、相手に選択の余地を与えなかったり、強制的な物言いをしてしまうと、
「心理的な抵抗(リアクタンス)」
が生まれ、要求が受け入れられなくなります。
さて、この「相手のコントロール感を奪ってはいけない」という「説得における基本中の基本原則」は、サービスの現場においても重要です。
大阪ガス行動観察研究所が、某レストランチェーンのホールでの、接客スタッフの様子を‘行動観察’し、「優秀店」と「標準店(平均的な店)」との違いを確認したところ、さまざまな違いが発見されたのですが、その中には、「コントロール感」に関する違いもあったのです。
客のテーブルに空になったお皿が残っている時、
「お下げしてもよろしいでしょうか?」
と聴き、それに対してお客さまがうなずくなど、ちゃんと相手の「許可」が得られたことを確認してから下げるのが優秀店です。
ところが、標準店のホール係の場合、
「お下げしてもよろしいでしょうか?」
と言い終らないうちに、皿に手がかかっていることがあるのだそうです。つまり、実際には客の許可を得る前に強制的に皿をさげてしまう。
どうせ空の皿ですから、どちらにせよ下げられても問題はないはず。
それでも、自分が許可を与える前に勝手に下げられてしまうと、心がわさわさしてしまうわけです。というのも、「コントロール感」を奪われたからなんですね。
上記の例は、たいしたことではない違いに感じられるかもしれません。しかし、こうした細かい気配りの有無が、愛され、リピートされる店になるかどうかの分かれ目になっているのです。
あなたも、様々な状況における、お客様とのコミュニケーションにおいて、
相手の「コントロール感」をうっかり奪ってしまっていないか、検証してみたらどうでしょうか?
それにしても、まだビール一口分くらい残ってるのに、新しいビールと交換に
黙って持っていってしまう店ありますよね。しかも、「まだ残ってます」などとは、「セコイ!」と思われるようで言いにくいので二重に不愉快です。
そんなお店には私は二度と行きません(笑)
<関連ブログ記事>
<参考文献>
『ビジネスマンのための「行動観察」入門』
(松波晴人著、講談社現代新書)
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。