もう一つだけ、行動観察ネタ。 抜群の成果を残すトップセールスパーソンの秘密、本人に聞いても、 「さあ、なぜか売れちゃうんだよね」 としか答えられないことが多いのです。
しかし、トップセールスパーソンの接客や商談の様子を「行動観察」してみると、以下のような特徴が判明したそうです。
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・ファーストコンタクト(第一印象)を大事にしている。
・お客様の話す時間が長い⇒セールスパーソンは一方的に話すのではなく、カウンセラーのように客の話を上手に聞きだす。
・お客様の様子をよく観察して、個別のニーズを把握、適切な提案を行なう。
・お客さんに何か必ず、親切なことをする。
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上記の点は、当たり前のことばかりじゃないかと、感じられるかもしれませんが、大事なのは「行動」としてやれているかどうかなんですよね。
さて、上記のような行動がなぜ成果につながるかについては、行動経済学や、社会心理学の知見で理論的に説明できます。
例えば、最後の
「お客さんに親切にする」
は、影響力の武器』で解説された「カチッ・サー理論」のうち、
「返報性の原理」
(人は借りができたと感じると、返さなければならないと無意識にも感じてしまうこと)
を活用したもの。
また、一番最初の
「ファーストコンタクトを大事にする」
は行動経済学における「初頭効果」です。
最初の印象が、その後の評価に大きく影響を与えてしまうということ。
例えば、第一印象で「いい人そう」と感じたら、その後のやりとりも「やっぱりいい人だった」と最初の印象を裏付けるように物事を解釈してしまう。
逆に、「なんかいやな人」と第一印象で思われたが最後、その後も、「やっぱりいやな人だった」と最初の印象を裏付ける証拠集めばかりをしてしまうのです。
こうした、最初の印象(先入観)に合致する情報だけに着目してしまいがちな傾向のことは、
「確証バイアス」
と呼ばれています。
だから、あるセールスパーソンは、
「ファーストコンタクトに全エネルギーの85%を注ぎ込む」
と言っているほど。
セールスパーソンに限らず、第一印象は大切にしたいものです。
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『ビジネスマンのための「行動観察」入門』
(松波晴人著、講談社現代新書)
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2012.08.13
2012.09.12
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。